受講者紹介・「木活な人たち」アーカイブ

木材コーディネーター紹介3/3-戸田 昌志さん

2016年8月19日
木材コーディネート研究会に所属し、全国で活躍している木材コーディネー
ーをご紹介します。

今回のインタビューでは、

木材コーディネーターが普段どのような想いを持って活動をしているのか。

という点に焦点を当てて、研究会事務局が取材し、まとめた内容を
3回に分けてご紹介していきます。


(資)戸田材木店 戸田昌さん
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1尋ねれば、100返ってくる。
木が大好きで、とても勉強熱心。

関西人らしい巧みな話口調で、玄人にも素人にも熱心に木の魅力を
語り続ける人。
今回は、(資)戸田材木店・戸田昌志さんにインタビューをお願い
しました。


まちの材木屋」戸田材木店

戸田材木店は、大阪・茨木市に店舗を構える材木屋さん。材木屋と
言うと、製材一筋や銘木一筋の材木屋も含まれますが、戸田材木店
は戦後の建築事情の変化に対応し、木材以外にもキッチンやフロー
リングなどの販売もいち早く手掛けてきた、戸田さん曰く、「まちの材
木屋」です。

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もちろん、主製品は木材であり、事務所に隣接する倉庫には所狭し
と木材が並べられています。以前はこのように、自社倉庫に在庫を
持ち、材を乾燥させたり、目利きした材をストックしている材木屋
が当たり前にありましたがが、手軽に人工乾燥材が入手できる昨今
では、戸田材木店のような在庫を持つ材木屋は珍しくなりました。

戸田材木店で扱われている材は、主に木材市場から仕入れられてい
ますが、特殊材などの注文の際には、戸田さんの持つ全国のコネク
ションをつてに、製材所などの生産者から直接仕入れることも多いと
いいます。

取引先としては、地域の大工さんや工務店がほとんどですが、近年
では家を建てる予定の人やDIY好きの一般ユーザーも増えているそ
うです。

では、今後は一般ユーザーにも広く販売するために、インターネット
での販売も視野に入れていますか?との質問に、戸田さんははっき
りと頭を振ってこう答えてくれました。

「例えば、写真をパッと見て、商品をポチっと押したら買える買い
物かごのような形でのインターネット販売は考えていない。今は昔
のように木が身近にある生活ではないから、一般ユーザーの木に対
する要望が、自分達が考えている内容のものではない可能性があ
る。
ネット上の画像だけで購入してもらうのではなく、電話やメールで何
度もやりとりをして、木のことを理解してもらったり、実際に店に来て
もらって木に触る、匂いを嗅ぐことをしてもらう。時間はかかるけれ
ど、お客さん自身にも求めているものを分かってもらえるし、自分た
ちもどんな人達が木を求めているのかを知ることが出来るから」

その言葉に、この顔の見える関係を目指す姿こそが「まちの材木
屋」なのではないだろうかと納得させられました。

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では、戸田さんにとって「まちの材木屋」としてのやりがいは何な
のでしょうか。

「建築ということで地域の人の衣食住の1つに関われていること、
かつ、それが、木を通した関わりであるということ。木は自然の産
物だから、1つ1つに特性や
魅力がある。扱いは難しいけど、その反面、とてもやりがいを感じ
る。そして、それを通してお客さんの喜んだ笑顔を直接見られるの
が何よりも嬉しい」

「もちろん、事業としてやっている以上は、利益を出して自社スタッ
フに還元しなければいけない。だから、利益を出しつつ、社会貢献
もしつつ、事業を続けていく。これが今後の目標かな」


自分たちの利益だけを考えていれば良いのだろうか

次に、戸田さんが業務および業務以外に行っている木材に関す
る活動についても話を伺いました。

戸田さんは現在、ブログや紙媒体を利用した情報発信や、森や
木材について学ぶセミナーやツアーを不定期に主催しています。

今回は、これらの活動の中から、セミナーやツアーについて詳し
く教えていただきました。

まずは、工務店やそのお客さん、普段木に触れる機会の少ない
子供たちを対象としたセミナーについて。このセミナーでは、
戸田さんが講師となり、木材が家の中で果たす役割や良さを
伝えています。
戸田材木店のショールームで、実際に様々な木材を見て・触れ
ながら受講することが出来るのが大きな魅力です。
工務店支援の一環として、また、木に触れるきっかけづくりと
して開催しています。

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そしてもう1つは、材木屋や工務店、設計事務所で働く人や、
木材に興味のある一般の人も対象とした森林ツアーです。
この森林ツアーは、いわゆる森林療法のようなものではなく、
山に生えている木が自分たちの生活の中で、木材として利
用されるまでの一連の流れを知ることが出来るようなプログ
ラム内容となっています。
木材の専門家である戸田さんの話を聞きながら、山、木材
加工場、建築現場を見学出来る貴重なツアーです。

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これらの活動について、その企画意図を尋ねてみたところ、
次の2つの理由をしてくれました。

「1つは、現在の日本の森林の状況、そこに関わる山側と、
まち側である材木や工務店、消費者の現状を知ったから。
その現状とは、まち側のそれぞれ得ている利益が山側へ
戻っていないことによって、山が荒廃してきているとい
うこと。
自分も含め、まち側の人たちにも、このままで良いのだ
ろうかと考える機会を持って欲しかった」

「もう1つは、お客さんが選択肢を捨てるための情報を
提供したいと思ったから。
今は、木材1つを選ぶにしても膨大な情報が溢れている。
でも、自分にとって何が必要で、何が必要でない情報な
のかが判断しづらい。セミナーやツアーに参加してもらっ
て、しっかり話し合うことが出来れば、お客さんに合った
ベクトルを教えてあげられる。そうしたら後はお客さん自
身で勉強も出来る。そうして自分で取捨選択して届けら
れた木材が、本当に山の木からできているなってことを
実感してもらえるしね」

そして、これらの活動を続けていく中で、店舗に来るお客
さんにも変化が現れてきたと戸田さんは話します。

「質が変わって、レベルが上がった。レベルが上がったな
んておこがましいかもしれないけど、ちゃんと木材の良さ
や、その木材が材木屋に来るまでのことを知っているお
客さんだから、ちゃんと値段に見合った価値を木材に見
出してくれる」

4~5年前から続けられているという、これらの取り組み。
実際に木に触れ、学ぶことで、参加してくれた人にはす
ぐに変化が表れる、と戸田さんは言います。そのため、
今後もこのような活動を継続して続けていく予定だそう
です。


自分の立場を再確認、そして

最後は、戸田さんも受講された木材コーディネート基礎
講座についてお話を伺いました。

まず初めに、この講座を受講しようと思ったきっかけを教
えていただきました。

「自分の専門分野に特化した講座は他にもあったが、山
から建築を含む木のこと全体を勉強したいと思っていた
のでまさにピッタリだと思った。また、メディア活用講座
(コピーライティング講座や写真活用講座)やイベント企
画などのワークショップがあるというのも大きかった。
なかなか勉強できる機会がないけど、重要なスキルだ
と思っているから」

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では、実際に受講した感想、講座から得たものは何だった
のでしょうか?

「他の受講生との繋がりを得られたことが大きかった。受講
生それぞれが、例えば、森林所有者や素材業者、木材利用
者であったり、自分の専門分野を持っている。だから、1つの
物事に対しても見方・考え方が違う。そこに気づけたのが良
かった」

「木材に関する知識はもちろん、コピーライティング講座だっ
たり、商品企画のワークショップもとても勉強になった」

「今でも、お客様や工務店向けの資料やプレゼンテーショ
ン資料作りに役立っていますよ。伝え方のスキルが上がる
ことで、さらに木の魅力を伝えることができるようになったと
感じている」

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最後は、木材コーディネート基礎講座を初めて知った方や
受講を迷っている方向けにメッセージをいただきました。

「この講座には色々な受講生が参加するので、まずは自分
の立場を再確認出来る。これまでと違った世界が見られる
し、他の人たちと一緒にいることで新しい考えを生むことが
出来ると思う」

「講座は、単に建築のことだけではなく、林業だけでもない。
木材に関する幅広い知識と見解を学ぶことができる貴重な
場。座ってただ聞いていたら終わりというスタイルの学習で
はないため、実際に知見が身に着く実践講座を探している
ならぜひおすすめしたい。各分野の専門知識を持つ修了生
や受講生との交流も魅力です」

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今回、「僕は、まちの材木屋」と繰り返し話していた戸田さん。

材木屋と名乗るからには木に関することはなんでも答えてあげたい、知りたい。
そして、そのための努力は惜しまない。

そんな戸田さんの心意気に触れられたインタビューでした。


インタビュー・文 山内祥子(NPO法人サウンドウッズ)
写真提供     山内祥子(NPO法人サウンドウッズ)
         戸田昌志


木材コーディネーター福嶋義久さんの記事はこちら
木材コーディネーター樋口真明さんの記事はこちら

木材コーディネーター紹介2/3-樋口真明さん-

2016年7月26日
木材コーディネート研究会に所属し、全国で活躍している木材コーディネー
ターをご紹介します。

今回のインタビューでは、

木材コーディネーターが普段どのような想いを持って活動をしているのか。

という点に焦点を当てて、研究会事務局が取材し、まとめた内容を
3回に分けてご紹介していきます。


人と木をつなげるプロジェクト 樋口真明さん
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ものすごく紳士に語っていたかと思えば、一転ガハハと笑顔になる。
地域の山や木材、そこに関わる人々への思いがとても熱い人。

今回は、人と木をつなげるプロジェクトを主催する樋口真明さんの
インタビューをお届けします。


木材利用の立場から、製造する立場へ

樋口さんは現在、愛知県に社を構える向井木材株式会社に務めています。

向井木材株式会社は、工事の中でも木材の加工、組立てなどの木工事を
主に行う会社で、案件としては、学校や老人ホームなどの公共物件を請け
負うことが多いとのこと。

また、木工事だけでなく製造した製品の他社への販売もしており、設計士や
木材製造担当、営業など25名ほどの社員で構成されています。その中で、
樋口さんは、製材工場であるみよし工場・副工場長として、原木仕入から製
材、製品の納品、JAS材の格付、木材管理などの業務を担当しています。


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副工場長として幅広い業務をされている樋口さんですが、これまでずっと
製造畑一筋なのかと尋ねてみたところ、笑いながら意外な答えを返してく
れました。

「いや、今の職場に来るまでは木材製造なんてまったくしたことなかった。
以前は、独立して大工をやっとったのよ。そんで、今の職場に来て、製材
なんかをやり始めたけど、最初はなんもわからんかった。いわゆる木の
学術書なんかを読みまくって、木の細胞とか、そんなところから徐々に
勉強していって。それが最初の3年くらいかな」

大工という木材利用の立場から一転、木材製造の立場へ。この間、樋口
さんの中で一体どのような心境の変化があったのか。その当時のことを
詳しくお聞きしました。



この木はどこから来るのか、という疑問

今から15年ほど前の2002年頃、当時、大工だった樋口さんは、木材を
取り扱うある商社の北欧ツアーに参加します。それは、その商社が扱っ
ている輸入材が、山から伐採され、工場での加工を経て、日本に輸出
されるまでの過程を見学するツアーでした。

その頃、「自分が使っている木材はどこからやって来るのだろう?」という
素朴な疑問を持っていた樋口さんはこのツアーに参加。そこで、山から伐
採された木が、木材となって自分たちの手に届くまでの長い道のりと、そこ
に関わっている人々のことを知ります。そして、どんなに長い道のりであろ
うと、その流通過程を伝えることは、木材を使用する人間に大きな安心感
と愛着を与えることに気がついたそうです。

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その後、ツアーから帰国した樋口さんは、すぐさま日本の木材流通に
ついて調べ、日本でも流通全体の見える化や木材の認証化が始まり
始めたことを知ります。

「その時、日本もこういう時代になってきたんだ。自分もいつかは流通
全体の見える化や木材認証をやりたいと思った。それから10年くらい
経って、一般的にもそれらが出来るような流れが出来てきた頃に、
(向井木材株式会社より)一緒にやらないかと言われたのが、木材製
造の道へ進んだきっかけ」

木材はどこから来るのかという1つの疑問から始まった、木材製造へ
の道。
ここから、樋口さんの木材製造の日々が始まりますが、ここでまた1つ
大きな出会いが起こります。
それは、「木材コーディネーター」という考えとの出会いでした。



自分の思いが具体的にまとめられていた「木材コーディネーター」

「木材コーディネーター」とは、山からまちまでの流通全体を把握し、
流通全体でのリスクと利益を分配することで、山側に再造林するた
めの資金を還元する、そのために各流通段階に適切なアドバイスを
行う人材のこと。

「北欧から帰った後、日本の山や木材流通について勉強していく中
で、流通の各工程の繋がりが途切れていること、それが原因の一つ
となり、山へ還元される利益が圧縮され、林業経営が厳しくなってい
るという現実を知った。では、自分はどうするべきか。そう考えていた
時に、『木材コーディネーター』という言葉に出会って。
まさに、自分の考えていることが具体的にまとめられていると思った」

そこで、木材コーディネーターに興味をもった樋口さんは、平成25年
度木材コディネーター養成基礎講座(現:木材コーディネート基礎講座)
を受講、半年間の座学と実習を経て、講座を修了します。

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実際に、受講されてみての感想を訪ねてみると、

「受講して良かったのは、同じ志を持つ仲間が出来たこと。
もちろん、知識や技術を得られたことも大きかったけど、やっぱり仲間が
出来たことが一番。建築士や森林組合員など木材に関わる色々な立場
の人が全国各地から1箇所に集まって、1つのことをそれぞれの立場で
議論していくというのはとても新鮮だった」

「共通の志を持ちつつも、活動地域や立場が違うから、考え方や方法論
が違う。彼らと議論を深めることで、自分自身の考えの幅も広げられたと
思う」

講座について、このように語ってくれた樋口さん。そして、この講座の修了
後、これまでに自身が業務を通して作り上げてきたネットワークと、講座で
得た知識や技術を活かして、あるプロジェクトを立ち上げます。

それが、「人と木をつなげるプロジェクト」と題された、お互いの顔が見え
る木材流通をデザインするプロジェクトです。



木のまわりにはきっと人が集まってくる

「人と木をつなげるプロジェクト」は、愛知県豊田市で伐採された木を、
豊田市内でデザインから加工、生産・販売する『完結した流通』をデザ
インし、それをブランド化することで、豊田市内での資金循環や豊田市
産木材のアピールの促進を図るプロジェクトです。

この「人と木をつなげるプロジェクト」には、樋口さんを始め、一級建築士
や木工作家、デザイナー、フォトグラファー、インテリアコーディネーター
など趣旨に賛同する多様なタレントを持ったメンバーが参加しています。
また、樋口さんがこれまでの仕事の中で関係を築いてきた市内の森林
所有者や林業家、製材工場や材木店なども提携・協働という形でプ
ロジェクトに関わっています。

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このプロジェクトでは「豊田市の森を知る」「豊田市の木と親しむ」
「流通をデザインする」という3つのテーマのもと、それぞれのテーマに沿
った色々なプログラムが提供されています。

テーマ①「豊田市の森を知る」
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豊田市の人々が、地域の資源である森を知るきっかけにしてもら
えたらという思いのもと、業として木材に関わりを持つ地元の林業
家や木材事業者はもちろん、普段木材との接点のない一般市民も
参加、楽しめるような講演会やトークイベントを開催しています。


テーマ②「豊田市の木と親しむ」
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このテーマでは、とにかく木に触れる楽しみを知ってもらおうという
趣旨のもと、お箸づくりのワークショップや南米の打楽器であるカホ
ンづくりなど、実際に、豊田市産木材を使って子どもから大人までが
楽しめるプログラムが提供されています。


テーマ③「流通をデザインする」
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このテーマのもとでは、豊田市産木材の流通を、伐採から仕入れ、
製材、加工、販売までを市内で完結するようデザインし、その一連
の流れも見える仕組みづくりを行っています。この一連の流通全体
をブランド化し、そこから生まれた商品をアピールすることで、豊田市
の地域資源を広く消費者に伝えることを目的としています。

 

現在、これらのプログラムや取り組みを1つ1つ大切に行っている樋口さんたち。

最後に、このプロジェクトのやりがいと今後の目標を教えてもらいました。

プログラムを通して、豊田市内外で豊田市産木材の魅力に気づいて
もらい始めていることと、プロジェクトの趣旨に賛同してくれる仲間が
増えていっていることが、今は何よりのやりがい。本当に『木を中心
に人が集まってきている』ことを実感している」

 

「このプロジェクトは初めてから1年が経ち、自分たちが思っていた
以上に注目されているし、賛同してくれる人も多い。これから将来
的にどう発展させていくかは、地域の皆さんと一緒に考えて行きま
す。やっぱり地域の森林所有者や森林施業者が自分たちの山や
仕事に誇りを持てるような、そんな活動にしていきたい」


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今回のインタビューで印象深かったのは、「参加者の人はもちろん、
自分たちも楽しめるものじゃないとプロジェクトは続かない」という言葉。

 

インタビュー終了後も、「今後も色々な職業の人と一緒にプロジェクト
を盛り上げていきたい。例えば、あの人と一緒だったらあんなこと出
来るし、あ、あの人とだったらこんなことも出来るなぁ」と今後の展望を
本当に楽しそうに語ってくれていました。

 

この4月から2年目がスタートする「人と木をつなげるプロジェクト」。

今後の発展も楽しみなプロジェクトです。

 

インタビュー・文 山内祥子(NPO法人サウンドウッズ)
写真提供        永田ゆか(人と木をつなげるプロジェクト)
                          桜木摩耶(NPO法人サウンドウッズ)


木材コーディネーター福嶋義久さんの記事はこちら

木材コーディネーター戸田昌志さんの記事はこちら


木材コーディネーター紹介1/3-福嶋義久さん-

2016年7月01日
木材コーディネート研究会に所属し、全国で活躍している木材コーディネー
ターをご紹介します。

今回のインタビューでは、

木材コーディネーターが普段どのような想いを持って活動をしているのか。

という点に焦点を当てて、研究会事務局が取材し、まとめた内容を
3回に分けてご紹介していきます。


株式会社福島材木店 福嶋義久さん
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飽くなき探求心と地域の山・木材への熱い想いを抱く人


お一人目は、株式会社福島材木店を営む福嶋義久さんのインタ
ビューをお届けします。


価値に見合った製材とは

福嶋さんは、兵庫県加古川地域で材木店を営む四代目です。
創業は1913年。建築業から事業をスタートされましたが、途中で製材機を導入
し、自分たちで使用する建築用材を挽くようになり、それが現在のかたちである
材木店につながったそうです。

現在は、工務店やエンドユーザー向けの木材・住宅機器・建材・テーブル材等
を販売している。製材工場では、少量多品種で国産材から外国産材まであら
ゆる材を挽いておられます。特徴は長尺・大径木を挽けることにあります。
これまで、最長だと15m(大径木ではない)、最大径だと1,100mmの米松を
挽いたこともあるそうです。

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製材機の奥には、加工し、養生中の材が所狭しと並べられています。
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「やっぱり、お客さんからのありがとうの声が一番嬉しいね。狙い通り製材が
できた時にもやりがいを感じる。丸太は製材をすると明確に節やねじれなど
の特性が分かるけど、製材をする前の段階ではそれが分かりにくい。それら
の特徴を見極めて、原木の特徴に合わせた製材をしないといけない。それが
狙い通りだったときはすごく嬉しいね」

木材の大規模生産化が進み、丸太ひとつひとつの特徴に合わせた製材を行
う工場が少なくなっている今、福嶋さんのような丸太の目利きのできる人
材は貴重です。
その目利きは、丸太を購入する木材市場で垣間見ることができました。

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写真は、兵庫県宍粟市にある山崎木材市場での競りの様子。

ここには、各所から集まった原木が樹種や直径に合わせて選別され、敷地いっ
ぱいに並べられています。

競りでは、目当ての丸太を買い付けに来る登録業者に対し、振り子と呼ばれる
市場職員が、ひとつひとつ競りをかけていきます。
一つの競りに要する時間はものの10秒から20秒程度。この短い時間に狙い
通りの材を競り落とすべく、大量に並べられた原木から目当ての材を目利きし、
購入上限金額をも見極めて競り落とすのです。
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見学に伺った際にも、福嶋さんは、積み上げられた原木の年輪のつまり具
合や樹皮の状態などから、製材をした際に現れる節や雪害、ねじれを手際
よく見極めて、そのポイントを解説して下さいました。

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「自分たちの商売は山の木がなくなったら成り立たなくなる。だから、丸太を
できるだけ安く買うんじゃなくて、ちゃんと目利きをして、価値に見合った金額
で買わんとあかんねん。それで少しでも山に利益を還元して、山の木が次の
世代に引き継がれていくようにせなあかん」



山の木が丸太になるまでの過程を知るということ

丸太のことを知り尽くす福嶋さんが一体なぜ、木材コーディネート基礎講座
を受講されたのでしょうか。
「取引先の方の一人に勧められたことが直接のきっかけやね。その方は、
僕が受講する2年前に受講されていて、「知識が広がるので受講した方が
良い」と勧められて、受講することになった」

受講して、何が得られたのでしょう。
「丸太を加工して、製品化・住宅を建てるまでのことは一通り知っていたけ
ど、これまで、丸太になるまでの森林や素材生産のことは全く知らなかっ
た。基礎講座を受講することで、山側の仕事について知識を深めるきっか
けになった」

「また、木の話ができる人が増えたことも講座を受講してよかったと感じる
ところかな」

「例えば、異業種の方と交流を持ったとき、同じものを指していても業界によ
り呼び名が違ったり、考え方が異なって話がかみ合わないことがあった。
その点、基礎講座は、森林林業から木材製造流通・木材利用に至る様々
な分野の方が受講してるけど、講座内容が全流通過程に渡るから、共通
の話題ができる。そのおかげで、単なる人脈だけでなく、知識も大きく広が
った。互いの知識を共有することができるのも大きな強みかもしれないね」

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そんな福嶋さんが木材コーディネーター向けに不定期で企画されるの
が、競り&製材体験の勉強会です。

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この勉強会では、スギの板材など、最終木材製品を寸法を含めて予め決
めておき、それらを挽くことのできる丸太を木材市場で選び、競り落とし、
製材する。この一連の流れを体験することができます。

2015年度の勉強会では、競り落とした丸太をどのように製材すると山側に
いくら資金が還元できるのか、コストシミュレーションも行いました。

木材市場の登録業者の福嶋さんが講師だからこそ丸太の競りにも参加
することができ、製材機も福嶋さんの指導のもと、レバーを引いて操縦で
きるため、参加者にとっても貴重な勉強の場となっています。

なぜこの企画を行っているのか聞いてみました。
「木材コーディネート研究会の良い勉強の機会になるのではと思った。
木取り体験をはじめ、製材の実体験や木材市場で材を競り落とす経験が
できる機会は非常に少ないと思うからね」

「この企画をすることによって、直接売り上げに影響する訳ではないけど、
自分の仕事を知ってもらうきっかけになる。それに、個々の材木屋や製材
所でそれぞれ特徴や手法が異なるから、この勉強会を通じて、自分のやり
方を参加者に知ってもらいたいと思っている」

通常、決して明かすことのない製材や目利きの技術を惜しげもなく参加者
に教える熱い情熱を持った福嶋さんに今後の目標を伺いました。
「世の中の急激なニーズの変化にどのように対応するか難しいところやね。
価格競争に巻き込まれず、どのようにオンリーワンを見つけるか、木材コー
ディネート研究会で得られた知見を糧に地域でうちにしかできないことを探
求するのが今後の目標かな」

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「自分さえ、今さえ、良ければ良いんじゃない。次の世代のことも考えながら
業界全体で潤うことが大切。そのためには、山に適切に利益を還元しないと
いけない」福嶋さんが普段からおっしゃっている言葉を改めて考えさせられ
ました。

「来年はどんな現地勉強会にしようかな」福嶋さんの声は弾む。来年度の
勉強会も楽しみです。

インタビュー・文 桜木摩耶(NPO法人サウンドウッズ)
写真提供      桜木摩耶(NPO法人サウンドウッズ)



木材コーディネーター樋口真明さんの記事はこちら
木材コーディネーター戸田昌志さんの記事はこちら

木材コーディネーター インタビュー1

2013年3月27日
木材コーディネーター養成基礎講座を修了し、現在木材コーディネーターとして活躍
されている方4名にインタビューを行い、木材コーディネーターになろうと思ったきっかけや
今後の抱負についてお聞きしました。
その内容を掲載しています。


ご覧になりたい方の写真をクリックするとインタビュー記事のページにリンクします。

森林林業部門
木材製造流通部門
utsumi006+.jpgのサムネイル画像  takada009+.jpg 
内海 美沙さん 平成23年度修了

森の価値をつなぐ技術者を目指し、できることから取り組んでいます

髙田 尚使さん 平成23年度修了
株式会社紅中  勤務
木材コーディネーターを林業界に影響のあるグループにしていきたいです

建築部門
建築部門
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島﨑 淳二さん
 平成22年度修了
一級建築士事務所 島崎淳二建築設計室 代表
設計図の中で森を想像することを心がけ、天然資源を使った家を提案しています

鈴木 直子さん
 平成23年度修了
株式会社住工房なお 代表
色んな現場に足を運び、林業の現状を自分の言葉で伝えたいです

木材コーディネーターインタビュー 木材製造流通分野 髙田 尚使さん

2013年3月06日
                                                                     他のインタビュー記事を確認する

  木材製造流通分野
takada009+.jpg 
福祉業界からキャリアをスタート。モノづくりに関心を持ち、材木店を経て現在は建材流通商社の株式会社紅中に勤務。地域資源を活用して地域の気候・風土にあった地域型住宅の供給に取り組む等、建材のなかでもとりわけ木材の流通に携わる業務を担当している。


--森に興味を持ったきっかけは何でしょうか。
モノづくりに興味があり、前職では材木店に勤務をしていました。当時、流通に関する材木の知識はありましたが、森や木そのものに別段関心があった訳ではありませんでした。お客さんに「なぜ木は使ううちに曲がってしまうのか」と問われても、きちんと説明をすることはできませんでした。ただ、その頃は阪神・淡路大震災の発生をきっかけに建材の質が社会的に問われ始めており、ときに質よりもコストを優先しがちな木材の供給側と質を求める需要側の考え方のギャップが広がりつつありました。このギャップに対して徐々に疑問を持ち始めるようになり、木材について勉強をし始めたことが一つのきっかけとなりました。 

--木材コーディネーター養成基礎講座を知ったきっかけを教えてください。
サウンドウッズのHPを見たことがきっかけです。現在の勤務先に移り、木材に携わる業務を任されたこともあり、自分なりに木について勉強をしていました。具体的には書籍やセミナー等から知識を吸収していたのですが、そこで示されているものは木造住宅が主流で、木そのものについて学べるものはあまりありませんでした。何か良い教材はないかとインターネットで検索していたところ、サウンドウッズのHPで木材コーディネーターのことを知りました。すぐにサウンドウッズに問い合わせをしたところ、木材コーディネーター養成基礎講座というのは森林の状態から木材として利用されるまで、流通の全工程について学べることがわかり受講することにしました。

--養成基礎講座を受講されていかがでしたか。
養成講座は座学と丹波実習で構成されていますが、座学講座では山側の知識は知らないことが多くて勉強になりました。丹波実習では、森を歩き、山の幸を味わい、道具を使うなど五感を使いながら生き物や森の味覚、薪や炭等の専門家から山のことを直接教わったことはとても勉強になりました。

--講座で学んだこと、お仕事で役立っているところはありますか。
林業情報の取捨選択ができるようになりました。業務上、国や関連団体から発信される林業情報から自社のビジネスに有効な情報を収集しています。以前であれば、どの情報がビジネスとして有効かどうかの区別がつきにくい部分がありました。養成講座を受講したことで、区別をする目が養われましたし、また、全国から様々な専門分野の方が受講しているので、例えば東京で発信された情報の裏付けを関東地域に住む仲間の情報で取ることができるようになりました。ネットワークを上手く活用できていると思います。

--今後の抱負をお聞かせ下さい。
 木材コーディネーターを林業界に影響力のある1つの集団として確立したいと考えています。受講生は全国から学びにくるので、その強みを活かして地域で活動している1団体ではなく、行く行くは全国的なネットワークを形成して、国の中心から林業界に影響を与えるグループに強化していきたいと思います。

--木材コーディネーター養成基礎講座の受講を検討されている方に一言お願いします。
ぜひたくさんの方に受講していただきたいです。講座を学んでいるうちに普段の業務で悩んでいるポイントが見えてくると思います。会社や組織にいると、業務上の悩みを抱えても最新の情報や他都道府県の状況、実務等を全てわかる人が身近にいないこともあると思いますが、この養成講座であれば全国から様々な専門分野の方が来ているのでうまく情報収集できます。また、養成講座の赤堀さんや田中さんに代表される外部講師から貴重なお話を直接聞くことができるのも大きな刺激になると思います。


ありがとうございました。 2013.2.2インタビュー


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