実習3・4木材コーディネート基礎講座(平成29年度)

2017年12月29日
木材コーディネート基礎講座の第7回・第8回が初冬の丹波市で
一泊二日の合宿形式で行われました。
今回は、インターンシップ生の若林、秋田の順でレポートをお送りします。

第7回と第8回の講座は以下の通りです。

【講座概要】
第7回
日時 :12月2日(土) 10:00~17:00
講師 : 能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
中島彩(有限会社ウッズ)
場所 : 前山(さきやま)地区
前山(さきやま)コミュニティーセンター
内容 : 山の棚卸し10:00~16:00
ワークショップ16:00~17:00
第8回
日時 :12月3日(日) 08:30~16:30
講師 : 能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
場所 : 丹波市幸世交流施設
有限会社ウッズ製材所
内容 : 演習講座5・608:30~12:00
演習講座7・813:00~16:30

【講座内容】

<講座レポート1 作成者:若林知伸>

第7回 木材コーディネート基礎講座「山の棚卸し」

丹波スクーリング1日目は、一般参加の方も交えて、「山の棚卸し」です。
有限会社ウッズの講師の中島から本日の棚卸しの概要と目的について説明がありました。

「森の健康診断の創設者は、山主が参加していないことが問題だと感じていた。
山の棚卸しでは、山主にも参加してもらうことで、山をどうするか行動を取ってもらいたいと思い始めた。」

「前回の森の健康診断により、山の現状がわかる。かし、現状がわかっても、山主は次にどうしたらよいかがわからない。
山の棚卸しをすることで、その目標を定めるための根拠となる。」

その後、早速スギの人工林に入りました。

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棚卸しのマニュアルに従って、調査地を決定、測量を実施しました。
これは前回の「森の健康診断」の際に実施した要領と同じ部分もあり、受講生の皆様は前回を思い出しながら動いていらっしゃいました。
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一通り測量が終わったら、試験伐採木を決定します。
そしていよいよ伐採。講師の中島がチェーンソーを用いて木を切り倒しました。

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伐採した木を測量した後、どのような長さの丸太にするか、受講生の皆さんで木を見ながら話し合って決めました。
丸太を切り出した箇所の輪切りサンプルを持ち帰り、午前は終了となりました。
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午後は場所を前山コミュニティセンターに場所を移し、午前中に計測した値を共有した後、試験伐採木について細かく調べていきます。
持ち帰った輪切りサンプルから、木の品質や特徴などをつかみます。
講師の能口より、輪切りサンプルから木の品質について解説がありました。

「傷は、その場所や同じ木の違う高さの部分の輪切りや樹皮をみて、どのような傷なのかを考えることができる。
また成長の履歴を年輪の幅や方向を見て考えることができる。」

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さらに輪切りしたサンプルを用いて、材積、材価などを計算し、立木一本あたりの金額を出します。

「みなさんこの価格は安いと思いますか。高いと思いますか。」という講師の中島の質問に対し、皆様思うところがあるようでした。
立木一本の価格を算出した後は、調査地全体に広げていきます。調査地で利用できる材積とその価格を算出しました。
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「とても簡素化して計算を積み上げていくことで、全く山に入ったことの無い人でも木の値段を出すことができる。」


第7回 木材コーディネート基礎講座「ワークショップ」

休憩をはさんでからさらに、10年後の材積、価格の変化についても予測しました。
間伐の有無と、どのくらい成長するか当たりをつけて、10年後の調査地の金額を算出しました。

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「このような計算方法で、色々なエリアを算出していけば、放置するよりもより戦略的に活用していくことができる。」
「この活動をすると山主は初めて自分の山にある立木の価値を知ることになる。
10年後にどうなるかを想像するにも数値があるので、具体的な話が進む。」


第8回 木材コーディネート基礎講座「演習5・6:価値の設定・製造コスト把握、ほか」

丹波スクーリング2日目は、木拾いの演習からスタートしました。
サウンドウッズ代表理事であり一級建築士の安田から、木拾いの方法や意味について解説があったのち、各班に分かれて、木拾い表の作成に当たりました。
ここでは、建築関係の受講生が班のリーダーとなり、進めていただきました。

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「部材の断面を拾うのは簡単だが、長さは一本一本異なるので、それを拾って整理していくことが重要。
木材の購入には、定尺という考えがあるため、定尺からどのように部材を使用してくかは、現場の大工の腕にも左右される。」
「この部材の役割はどういう役割なのかを考えることが建築を理解することになる。」
「木造建築では部材の接合部についても理解をしていなければ効率的に材料を使うことができない。そこがわかって、説明できることが肝になる。」

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少し時間はかかりましたが、小屋一棟にどれほどの木材が必要になるのか、計算ができたようです。

その後、有限会社ウッズの製材所に移動し、製材をする原木を選びました。
それぞれの班で、どの原木から、どのような材が取れそうか、金尺やメジャーを用いて話し合いました。

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講師の能口からは、原木選びに際してのアドバイスがありました。

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「丸太の向きを決めて、中心線に対して、左右対称に木取りをしなければならない。
そうしなければバランスが崩れ、製材品が反っていってしまう。」

どの木でどのような木取りをしたいか、各グループ熱心に原木を見て話し合っていました。


第8回 木材コーディネート基礎講座「演習7・8:木取り演習・木取り製材体験」

午後からは再び有限会社ウッズの製材所にて、先ほどの丸太の製材を行いました。
講師の能口と、実際に切削した断面を見ながら、どういった切り方をすれば、より質の高い材が歩留まり高く取れるかを確認していきました。
実際に製材機を動かしている現場を見ることができ、受講生の皆様は熱心にその様子を見学していました。

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「化粧材は、節の位置を見る必要がある。材を3分割した時の、端に節があると厳しく評価されてしまう。」
「丸太の真ん中で材を取る場合、中心の未成熟材の割合が関わってくる。
目が荒いと未成熟材の割合が大きくなり、強度も減少してしまうため、使い道が限られてしまう。」

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実際に製材した部材を計測し、原木からどれだけ材が取れたか、歩留まりや利益率などを計算しました。
各グループそれぞれの歩留まりは、、、結果が出ると受講生の皆様は驚いているようでした。

「枝打ち材は昨日の計算にもあったが、製材の価格が高くなる。
ただ、同じ出荷者でも枝打ち材とそうでない材が混ざっていたりするので、市場では注意が必要。」
「大体1日で、10立米くらいは製材できる。その部分の効率も原価に影響するので考えなければならない。」

立木の情報を、丸太の情報をどれだけ読み解けるかが、製材の値段を左右することに改めて納得し、木材コーディネーターの活躍が期待されるところだと感じました。



<講座レポート2 作成者:秋田麻菜香>

第七回・第八回の講座は二回目となる丹波でのスクーリングでした。
前回の大雨の中での調査とはうって変わり、時折暖かい日が差し込む気持ちのいい2日間となりました。


第7回 木材コーディネート基礎講座「山の棚卸し」

前回、丹波で行った「森の健康診断」では山の置かれている環境状況を調査しました。
今回はそこから一つ進んで、具体的に今の山にどのくらいの価値があるのかを調査しました。
受講者の皆さんには、講師の中島彩氏(有限会社ウッズ)より説明を受け、山の状況を測量しました。

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「単に健康状態を評価するだけでは、ただでさえ山に関心のない森林所有者に原状回復のために行動を起こしてもらうことは難しい。山の棚卸しは実際に価値、つまり金額がどのくらいなのかを示すことで所有者がどう思ってくれるのかが分かるきっかけなる調査です」と中島氏。

受講者全員で協力しながら定められた範囲の木々の太さや曲がりを計測し、傷の有無を観察しては製材した時に影響があるか、などの説明を受けました。

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調査した中で、平均的な木を試験伐採します。
森が、しーんと静まり返る中での伐採現場は林業が自然の営みの中で行われるということがはっきりと理解出来る瞬間でありました。

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その後、参加者全員で相談しながら伐採した木から丸太を切り出し、それぞれの末口側の断面をスライスし、午後の講座の資料として持ち帰りました。

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午後からは中島氏と木材コーディネーターの能口氏が講師を務めました。
前山コミュニティーセンターに戻って午前に採取した山での情報と、切り倒した木を丸太に切り分けた輪切りから情報を読み取っていきます。

「木は皮は皮、身は身で成長している。たとえはるか昔に枝打ちや傷が付いていても皮には枝打ちの跡や傷跡がはっきりと残っている。皮には重要な情報は詰まっているので、伐採する前から正しい情報を読み取れる目が必要である」と能口氏。
オリジナルのマニュアルに従い、単価を計算し、そこから調査地に植わっている木の価値を割り出しました。


第7回 木材コーディネート基礎講座「ワークショップ」


休憩の後は、ワークショップです。
さらに10年後に予想される売り上げ金額まで導き出し、これからどうすべきかを考えていただきました。

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「この数字をもとに、森林所有者に話し合ってもらうことを目的としている」と中島氏。
山について話し合う、場づくりの重要性を説いていました。

「今回は限られた場所で計測をした。同じ山でもどういう場所かによってまた出てくる結果は違ってくる。
もっと数をこなしてデータを蓄積して正確な数値に近づけることが重要」
「自分の山の木の特性を分かった上で利用価値をあげられるのか、分からないと価値の上げようがない。
ちゃんと知っておかなければならない」と能口氏。

木材価値を高めるには、蓄積量を増やすか、品質を上げるのかの2パターンがあります。
どちらにせよ、まず山の状況を知ることが必須条件であると理解できます。


第8回 木材コーディネート基礎講座「演習5・6:価値の設定・製造コスト把握、ほか」


スクーリング2日目はサウンドウッズ代表理事で一級建築士の安田が講師を務める「木拾い」の講義から始まりました。
「木拾い」というのは建物の設計図からどれだけの木が使われているのか読み取り、木材を寸法、等級ごとに集計する作業のことです。
この作業では「木の建て方と取り方を紐解けば、理解出来るということを知ってもらうこと」を目的としています。

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今回は普段、実際に木拾いの業務を行っている建築士の受講生の方々に先生役となってもらい、グループ内で木拾いの仕方を教えていただきました。

みなさん、ややこしいと頭を悩ませながらも、最後には木拾い表を無事完成させていました。
作業中、仕事で伐採業務をしている受講生の方からは、
「建築での木材用途があらかじめ分かっていたら、伐り出す時点で適当な長さに伐れるのにな」という声が上がっていました。

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安田氏は講義の最後に、
「3m、4mといった普段流通している長さの、組み合わせを理解することによって、立木も価値を上げることができる。
山の価値を上げるには建築のイメージを持たないといけない」と伝えていました。
受講生の方にはしっかりと理解していただけたようです。


「木拾い」のあとは、「木取り」の作業を行ってもらいました。
前回のスクーリングでは丸太に木取りの印をつける作業までしました。
さらに今回は、実際に製材するところまでを想定して木の取り方について考えていただきました。

説明を受けた後、グループごとに丸太を選びます。太い木、細い木、樹種によって取れる材は変わってきます。
いかに歩留まりと単価を高めることが重要になってきます。
選んだ後は丸太の持つ情報をよく観察し、節がなるべく出ないように頭を使って寸法を記入していきました。

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説明を受けた後、グループごとに丸太を選びます。太い木、細い木、樹種によって取れる材は変わってきます。
いかに歩留まりと単価を高めることが重要になってきます。
選んだ後は丸太の持つ情報をよく観察し、節がなるべく出ないように考え抜いて寸法を記入していきました。


第8回 木材コーディネート基礎講座「演習7・8:木取り演習・木取り製材体験」

スクーリングの最後は、製材です。
立木、丸太の状態からも様々な情報をある程度読み取ることはできますが、製材しなければわからないことも、たくさんあります。

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今回は製材所の方に手伝っていただきながら、製材作業を進めました。
午前中に自ら木取りをした材に期待が高まります。
ウィーンという機械音の中、自分たちの選んだ木が、高速回転する刃に切られていきます。
ドキドキの瞬間です。

切り出した材を見て、「あー...」と節が出てきてしまったことを残念がる受講者の方々。
じゃあ次はどうするべきか、講師がアドバイスをしながら再度切り出しました。

「切ってから、取る材を変えることもよくある。木を見ながら何を取るか考える。」
「枝打ち材は製材しやすい」と能口氏。
自ら体験してみることでその言葉の意味がよくわかるようになります。

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製材した後は、市場流通価格をもとに切り出した材の単価を割り出しました。
同じ樹種、同じ太さの材を選んでいても、グループによって金額に違いが出ており、製材工程での金額のふり幅の広さに驚きます。
価値を高めるには材を見る目が必須ということが、身にしみて理解できました。

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また、同じ人が伐採して市場に持ち込んでいても、枝打ちしている木とそうでない木が混じっている場合がある。
分けてくれていたら安心して買えるのに、という流通事情もあるようです。

木そのものだけでなく、流通の中でも正しい情報を流す必要性もありそうです。


【次回の講座】
日時 :1月13日(土) 10:00~17:00
講師 : 安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表理事)
能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
宮村 太(宮村太設計事務所・准木材コーディネーター)
場所 : 近畿中国森林管理局
内容 : 座学9「木材コーディネート事例A一般建築」10:00~11:00
座学10「木材コーディネート事例B公共建築」11:00~12:00
座学11「関係者ネットワークとリスクヘッジ」13:00~14:00
座学12「森林と木材流通の各種制度」14:00~15:00
木材コーディネート事例発表会15:00~17:00