実習1・2木材コーディネート基礎講座(平成30年度)

2018年10月15日
木材コーディネート基礎講座の第3回・第4回が丹波市で一泊二日の合宿形式で行われました。
今回は、インターンシップ生の井上、福田の順でレポートいたします。

大阪方面からの電車が遅延した影響で、予定より遅れてのスタートになりました。

第3回と第4回の講座は以下の通りです。

【講座概要】

第3回
日時 :10月13日(土) 10:00~21:00
講師 : 能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
中島彩(有限会社ウッズ)
宮川五十雄(NPO法人森の都研究所)
事務局:安田哲也、井上淳治
インターンシップ生:井上峻太郎、福田花梨
場所 : 前山コミュニティセンター
前山(さきやま)地区
丹波市立休養施設やすら樹・研修室
内容 : 森の健康診断11:00~16:30
ワークショップ19:00~21:00
第4回
日時 :10月14日(日) 08:30~16:30
講師 : 能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
事務局:安田哲也、井上淳治
インターンシップ生:井上峻太郎、福田花梨
場所 : 丹波市立休養施設やすら樹・研修室
サウンドウッズの森
有限会社ウッズ製材所
内容 : 演習講座1・208:30~12:00
演習講座3・413:00~16:30


【講座内容】

<講座レポート1 作成者:井上峻太郎>

第3回マーケティング実習「森の健康診断」

最初に午後の実習に向けて講師の中島氏による「森の健康診断」についての座学を受けました。
森の健康診断とは、「(林業に対する知識のない)一般の人が、人工林の健康状態を、身近な道具と、簡単にできる方法で、楽しみながら調査する」という調査方法です。
データの集積だけが目的ではなく、一般の人々が人工林に入る機会を増やすことで、人工林の現状を広く認識してもらおうという意図があるそうです。

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講義では間伐の必要性、間伐する際の判断基準などを教わり、健康な森林とはどんな状態で、その程度をどう判断すればよいかイメージできました。
ただ闇雲に間伐をすれば良い訳ではなく、現況を知って将来の目標林型を定めた上で、それに向けた間伐計画を立てることの大切さを教わりました。

昼休憩を挟んでから、調査地へ移動して実際に森の健康診断を行います。
調査地は駐車場から10分ほど山を登ったヒノキの人工林でした。

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午前の講義で習ったことを基に、斜面や土壌の状態、下層植生、植栽木の胸高直径、樹高などを調べます。
ここで驚いたのが、様々な道具類のほとんどが、100円ショップで売っている道具など身近なものを使って工夫して作られている点です。
専門的な道具ではなくても、工夫次第で森林の健全度をかなり正確に知ることができるのです。
一通り計測を終えて林分形状比と相対幹距を求めると、どうやらこの林分は過密気味であることが分かりました。

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また講師の宮川氏には下層植生の種類を判別する際の、同定のコツを教わりました。
今回調査した林分は種数は多くありませんでしたが、そのほとんどがとても小さな稚樹や草本だったので見分けるのに苦労しました。


第3回ワークショップ

夜は森林をフィールドとした市民参加のイベントを計画して、事業コンセプトの立案手法を学ぶワークショップを行いました。

まず森林の所有主体をグループごとに決めて、そこで考え得る現状の課題を洗い出します。
その森林の将来像を考えたときに、現状での課題解決のためにどのようなイベントを企画したらよいか案を出します。
私のグループでは間伐体験、ツリークライミング、ジビエ料理を組み合わせたイベントにしようというところまでは決まりましたが、参加費や定員など細かいところまで詰めるのに苦労しました。

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最後にグループごとに発表し、講師の方から講評を受けました。
「参加者と、森林の課題解決ばかりに目が行きがち。主催者は誰でどんな目的を持っているのか?」と指摘があったことが印象的でした。
参加者を満足させることと森林のことを考えていても、主催者が明確に定まっていなければ運営できません。

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実際にやってみるとなるとまだまだ検討すべきところはありそうです。



第4回演習1・2 森林の施業と原木の品質

初めに能口氏から本日の演習の流れと使う道具の紹介があり、これから見学に行く山林の所有者である山口氏からも山林の概要を説明していただきました。
その後サウンドウッズの森へ移動し、山口氏の所有林の中で演習が行われました。
ここではグループごとに森の中の木を選び、よく観察して計測することで、立木状態で把握できる品質特性について学びました。

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今回は専用の機器を使って、木の胸高直径や樹高、枝下高などを計りました。
また、機械での計測だけでなく木の曲がりや節の跡の確認方法も教わりました。

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どのあたりでどのように曲がっているのか、かつて枝がどこにあって節になっているのか、よく見ないと分からないので、受講者の皆さんはじっくりと木に向き合っていました。
立木の段階でもその品質をよく見極めることでその利用価値を予想することはできるのです。


第4回演習3・4 木材の計算・木材のグレーディング

午後は有限会社ウッズの製材所へ場所を移して、今度は原木や製材品について、品質の特性を学びました。

まず、原木を切った際の木目や節の出方を教わり、実際にたくさん並んだ丸太の曲がりや節などを確認しました。
欠点の中にはモメ、葉節といった一見分かりにくいものもあり、原木の段階でも評価は簡単ではないと感じました。

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次に、グループごとに一本原木を選んで、木取りをどうすべきか考えました。
材の状態を見ながら製品をどのように切り出せば良いか相談しながら試行錯誤を重ねます。
歩留まりを少しでも良くしようとしましたが、原木の僅かな歪みなどが相まってなかなか思い通りにはいきません。

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さらに、「ただ歩留まりを高めればよいわけではなく、それぞれの材の利点、欠点を考えて製品になった時の価値を考慮しなければならない」と能口氏に言われ、木取りの難しさが身に沁みました。

製材所の中では、製材された製品のヤング係数や含水率の測定についても実物で確認できました。
本来製材された製品には乗ってはいけないそうですが、今回は年輪幅の異なる角材のヤング係数の違いを体感するために、上に乗ってたわみ具合を確かめました。

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角材の上で軽くジャンプしてみると、確かに目の粗いものの方が歪みが大きいことを実感できました。
また含水率についても、乾燥の有無や、節の多少で値が変化することを確認できました。



<講座レポート2 作成者:福田花梨>

第3回マーケティング実習「森の健康診断」

講師は中島彩氏です。午前中は、午後から実際に行う「森の健康診断」について基本的な知識を座学によって学びました。
「森の健康診断」とは一般の人が人工林の健康状態を身近な道具を使って簡単に楽しみながら行う調査のことです。
調査方法はマニュアル化されており、誰でも簡単に行うことができます。

中島氏は、木の間伐が必要な理由や森の保水力の仕組み、森の状態によって変わる木の特徴などを、小さい子供にもわかるイラストを用いて説明してくださいました。

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木材コーディネーターは専門の知識のない方にもわかりやすく説明することが求められます。
小さな子供にも伝えられることは、とても大切なことです。
この講義では「森の健康診断」の予備知識だけでなくわかりやすく伝える方法も、学ぶことができました。

午後から調査現場の山のまえで、調査対象の森林について話があり、
不慣れな人には歩きにくい山道を進み、目的地のヒノキ林に到着しました。

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早速座学で説明のあったマニュアルに沿って調査を進めていきます。
調査は大きく分けて、調査地の設定・人工林の植栽木以外の植生調査・植栽木の混み具合調査、の3段階に分かれます。
どの段階でも、距離や立木の樹高を1人や2人では測定できないので全員で協力して調査を進めました。また、使用する道具は身近なものを使うという「森の健康診断」のコンセプト通り、ほとんどが100円ショップで揃うものでした。

植生調査では宮川五十雄氏が講師となって、まだ大きく成長していない植生の分類や特徴の見分け方など細かく説明してくださいました。

最初に採取した時は同じように見えた植生も葉の表面に生えている毛の色や葉の裏の色など、細かい部分に注目すると、全く違う植生でした。

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混み具合調査で最も難しかったのは、樹高の測定です。
立木の高さは測ることができないと思っていたので、道具を使えば測定できると知り驚きました。

まず梢が見える位置を探すのですが、林の中なので難しく、協力して探しました。
測定には尺蔵と呼ばれる道具を使います。
この操作も難しく、苦戦しましたが、何人か測定しておおよその樹高を調べることができました。
私たちが調査したヒノキ林は20m前後の樹高がありました。

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調査した結果、調査地のヒノキ林は過密状態であることがわかりました。
木を伐採して適切な密度にすることによって低木が育ち、森林の植生の多様性が出、災害に強い森林ができます。


第3回ワークショップ

能口氏、中島氏、宮川氏が講師となり、森林に関するイベントの企画を提案するワークショップが行われました。

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A、B、Cの3つのグループに分かれ、それぞれに担当の講師がついて指導を受けながら進めていきました。
最初にどのような規模の森林を対象として企画するのかグループごとに決定し、話し合いを進めていきます。
Aグループは自治体が所有する山、Bグループは40戸程の集落所有林、Cグループは5haの個人所有林を設定しました。

それぞれの森林が抱えている現状と課題を明確にし、主催者、参加者、森林の全てに利益のある企画を提案します。
最終的に、森林の課題、イベントのタイトル、キャッチコピー、プログラム、参加費の設定、定員、広告媒体などを発表しました。

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講師からの講評によって、企画したイベントを開催するにあたっての問題点や見落としを発見することができました。
今回のワークショップは、今後、参加者の皆様がそれぞれの地域で森林に関するイベントを開催するときに活かせる内容でした。



第4回演習1・2 森林の施業と原木の品質

サウンドウッズの理事である山口氏より、所有林の歴史についての説明がありました。
多可郡の林の話はとても興味深く、皆さん真剣に聞いておられました。

次に山口氏の森林に移動し、演習を行いました。講師は能口氏です。
山口氏の森林は写真にもある通り、第3回で森の健康診断を行った森林よりも人工林以外の広葉樹が多く、明るい森林でした。

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杉林に到着すると、3人1組になって木の観察を行いました。
1グループにつき1本、観察する木を決め、曲がりの特徴や樹皮の状態、節跡の状態をじっくり見て特徴を記録しました。
立木観察の演習では見られなかった木の先端部分まで見ることができました。

まっすぐに見える木も根元から真上を見ると先端が少し曲がっていたり、節跡がないように見えてもよく見るとあったり、じっくり木を観察することで、立木の段階で推測できることも多々有ることがわかりました。


第4回演習3・4 木材の計算・木材のグレーディング

午後からは有限会社ウッズの製材所にて、グループごとに原木材積の計算や歩留まりの計算をしました。

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座学で学んだ計測の方法や計算を、実際の原木の数値を使って計算することができ、より理解が深まりました。

次に、製材した2本の木材の強度を示すヤング係数を測定する様子を見学しました。
測定する機械は、木材を叩いた時の音の周波数を測ることで、ヤング係数を算出します。
強度のある木材はない木材よりも年輪の幅が狭く、時間をかけて成長したものでした。

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2本の木材の強度を機械で測った後に、木材の上に乗ってたわみの大きさの違いを体感しました。

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次に、木材の含水率を調べる機械を使い、乾燥させた木材の含水率を測りました。
機械を木材に当てるだけで簡単に測定できるもので、節跡の部分は水分量が多いことなどがひと目でわかりました。

一通り演習が終わり、グループで出した原木の材積計算の結果や歩留まり率を全員で共有し、能口氏より、全体の振り返りがあり、解散となりました。



【次回の講座】

日時 : 11月3日(土) 13:00~16:30
講師 : 能口秀一 (有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
場所 : 近畿中国森林管理局
内容 :座学5 木材の利用・カスケード利用(13:00~14:30)
座学6 木材の価値と価格(14:30~16:00)
考査3(16:00~16:30)