実習3・4木材コーディネート基礎講座(平成30年度)

2018年12月25日
実習講座の第2回目が、初冬の丹波で合宿形式で行われました。
今回は、インターンシップ生の福田、井上の順でレポートいたします。

今回の内容は次の通りです。

【講座概要】
第7回
日時 :12月15日(土) 10:00~17:00
講師 : 能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
中島彩(有限会社ウッズ)
事務局: 安田哲也、井上淳治
インターンシップ生:井上峻太郎、福田花梨
場所 : 前山(さきやま)地区
前山(さきやま)コミュニティーセンター
内容 : 山の棚卸し10:00~16:00
ワークショップ16:00~17:00
第8回
日時 :12月16日(日) 08:30~16:30
講師 : 能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
事務局: 安田哲也、井上淳治
インターンシップ生:井上峻太郎、福田花梨
場所 : 丹波市幸世交流施設
有限会社ウッズ製材所
内容 : 演習講座5・608:30~12:00
演習講座7・813:00~16:30

20181215inoue1.JPG

【講座内容】

<講座レポート1 作成者:福田花梨>

第7回マーケティング実習「山の棚卸し」

講師は中島彩氏と能口秀一氏が務めました。
最初に、前回の丹波スクーリングで森の健康診断を行った山へ向かい、山の棚おろしを行いました。
調査地に到着すると、1人1本、好きな木を選び、その木を原木にした時の値段を予想しました。
そして調査地にある木全ての値段の合計がいくらぐらいなのかも予想しました。

20181215inoue11.jpg

そして、調査地内の木の特徴を、曲がりや傷があるかという点で観察し、記録しました。
そして、講師が木を1本切り倒しました。
実は、私は、この山の棚卸しで実際に立木を伐採するところを初めて見ました。
座学だけではわからない、間伐の大変さとかかるコストを身にしみて感じました。

20181215inoue2.jpg

どの長さを何本取ると最も利益が出るのかを考え、皆さんで決めたスパンで丸太を切っていきました。
玉切りした箇所を輪切りにして、直径を計測するためのサンプルとして持って山をおりました。

午後からは、持ち帰った丸太の輪切りを基準にして、伐採した立木の金額を算出します。

20181215inoue13.jpg

4枚の丸太の輪切りがあったので、それぞれの年輪の幅や数をグループに分かれて調べました。

20181215inoue15.jpg

先日学んだ幹材積を丸太の輪切りから得られるデータをもとに計算し、最後に単価を掛け合わせて金額を算出できました。
この金額より、計測付近の立木を伐採して玉切りすると、どれぐらいになるのかやっと想像ができるようになります。


第7回ワークショップ

続いて、山の棚卸し作業の目的である、間伐を行った場合の木材の価格と行っていない場合の価格の違いを計算しました。
その結果をもとに、間伐をした場合、10年後にどれほどの価値がつくのかを、具体的な価格で求めました。

20181215inoue14.jpg

具体的な価格で利益がわかる、山の棚卸しがどのように活用できるのかをグループごとに話し合い、発表してワークショップは終了しました。

山の棚卸しをどのように使うかというところでは、実際にこれだけの利益が出るのかはわかりませんが、山主さんに、間伐をするメリットを知ってもらい、山の手入れに興味を持ってもらうことができるのではないかと思いました。


第8回演習5・6 価値の設定・製材コスト把握・公認評価例

前回の講座の宿題の答え合わせをグループに分かれて行いました。
宿題とは、設計図面を見て、どの大きさの木材が何本必要かまとめるものです。
これができないと、実際に木材を発注することができません。

20181216fukuda1.jpg

1グループに1人は建築に携わったことのある方がおられたので、その方を中心に進めました。
わからないことは講師に質問する時間もあり、建築の専門知識のない方にも理解していただける内容でした。

次に、サウンドウッズの製材所の原木置き場にて、これから製材する原木の決定と、その木取りを考えました。

20181216fukuda2.jpg

前回の座学でも学んだとおり、ノコを入れる位置が少しずれるだけで価値が大きく変わります。
できるだけ曲がりのない原木を選び、節の位置や傷の有無を念入りに確認し、価値のある木材が多く取れる木取りを時間をかけて考えました。


第8回演習7・8 木どり演習・木どり製材体験

午前の部で考えた木取りをもとに、実際に製材をしていきました。
能口氏よりアドバイスを受け、製材の直前まで木取りを熟考しているグループもありました。

20181216fukuda3.jpg

また、一面切ってみて、節が出そうだからと取る材料を変えたりしており、柔軟な対応が求められる作業でした。
全てのグループの製材が終わると、歩留まりの計算や、仮の価格を設定して、取れた木材の利益の計算を行いました。

20181216fukuda5.jpg

最後に能口氏から講評があり、グループごとに反省点が見つかりました。
これで丹波スクーリングが終了しました。

木取りを考える演習は、時間を忘れてしまうほど、没頭しました。
木取りは何通りもあるので、最も良い木取りを考えるのは難しかったです。

私のグループは最初に少し曲がりのある原木を選んでしまい、その分難しい製材となりましたが、専門知識をお持ちの方や講師のアドバイスもあり、歩留まりよく綺麗な木材が製材できた時はとても達成感がありました。

前回の丹波スクーリングと合わせて、普段の生活では想像できない木材流通の川上の部分を具体的に学ぶことができました。
それによって木材ができるまでの大変さも理解し、木材にもっと価値がつくにはどうすれば良いのかを考えなければならないと感じました。


<講座レポート2 作成者:井上峻太郎>

第7回マーケティング実習「山の棚卸し」

「山の棚おろし」では、10月13日に行った「森の健康診断」のデータを基にして、木材の品質についての調査・判定を加えることで、山にどのような品質の木材がどれ程の量あり、いくらの価値があるのか試算を行います。
それによって、山林所有者が山の価値を認識してくれることを目指す手法です。

前山コミュニティセンターに集合してから、以前「森の健康診断」を行ったヒノキ林まで登って調査を始めました。
講師は能口氏、中島氏です。

20181215inoue1.JPG

まずは「森の健康診断」と同じ調査地(100㎡)を囲み、各々がその中の1本を選んでその木とエリア全体(12本)の価格がいくらになるのか予想します。
各々が実務経験や講座の内容を思い出しながら様々な観点で価格の目算を立てました。

次に腐れ、キズ、曲がり、といった欠点や枝打ちの有無を確認し記録します。
「枝打ちをしているかどうかは、枝の跡が一定のところで揃っているかどうかで分かる」
と、能口氏にポイントを教わりながら、それぞれの立木を評価していきました。

一通り立木段階での調査が終わると、平均胸高直径に一番近い木を試験伐採木として定め、それを中島氏が伐倒しました。

20181215inoue3.jpg

試験伐採木は樹高、樹冠長、元口から1メートルごとの直径を測った後、造材しました。
できるだけ直材を取れるように吟味した上で、今回は元口から4、3、3、4mメートルの順で切り分けました。

20181215inoue4.jpg

また、この木は根元部分が腐っていたため、腐りがどの高さ、深さまで入っているか確認しました。
ここまでで午前中の山での調査は終了しました。

午後からは前山コミュニセンターに戻り、午前中の調査で得られたデータを基に、調査地の立木の品質判定と価値の評価をしました。

20181215inoue5.jpg

材の欠点も評価係数として考慮した上で、材積と市場の原木単価から調査地(12本)の金額を計算していくと、4万円強になりました。
ただし、この金額はあくまで市場で予想される販売価格であり、実際に伐るとなると搬出コストや人件費なども勘案しなければならない、と補足がありました。

20181215inoue6.jpg

予め予想した金額と比べて、受講生はそれぞれどのように感じたでしょうか。
また、試験伐採木の造材について、元口から3、3、4、4mで切った方が約10%高く売れたことも分かり、造材一つを取っても意識するかしないかで価格が大きく異なってくることが分かりました。

20181215inoue7.jpg

第7回ワークショップ

現在の価格が出たところで、今度はそこから10年間放置した場合とすぐに間伐して10年間おいた場合の材積や価値を予測して、両者を比較します。

試験伐採木を輪切りにして持ち帰ったサンプルの年輪の成長具合を観察することで、今後の肥大成長もある程度推測が可能です。
最終的な両者の価格は、間伐を行った場合(間伐材収入を含めて)6.7万円強、しなかった場合5.1万円強となり、間伐の効果が窺えました。

20181215inoue8.jpg

「山の棚おろしは山主が主体的に山の価値を判断できる指標となるように行う。
山に価値を見出せなければ、山を手放していく」と、能口氏からお話があり、
「この山の棚おろしをどんなことに使うか?どんな風に使えるか?」という点についてグループで話し合いました。

「具体的な数字を使って山主さんが山へ興味を持ってもらうキッカケを作る」
「山主さんへいつ間伐したら、いくら返せるかを示せるようになれば」
「山主さんが山の評価をする事で次世代へ繋げられる」

など様々な意見が出ました。山の価値について、自ら体験し具体的な数字で示せることで、山主を次の行動に促すことができるツールであると感じました。


第8回演習5・6 価値の設定・製材コスト把握・公認評価例

この演習講座では今までの座学で学んだ木拾い・木取り・製材までの流れを実際に体験しました。

まず安田氏から宿題で出されていた木拾い表について解説があり、グループ毎に表を整理しました。
それぞれのグループには建築分野の受講生がいるので、その方々からも教わることができました。

20181216inoue1.jpg

寸法を出すときには、図面長にホゾ長を入れて実長を出し、最終的に製材長を出します。
3m、4mの製材品から部材を取る際に、できるだけ端材を少なくできると良いとのことでした。

一通り木拾い表が完成すると有限会社ウッズの製材所に移動し、グループごとに製材する原木を選び、それぞれ試行錯誤しながら木取りを考えました。

20181216inoue2.jpg

左右非対称だと製材後に酷く反ってしまう等指摘を受けて、何度もやり直しました。
また、原木は若干歪んでいたり、芯が中心でなかったりするので、それぞれの特徴を掴んで木取りを考えることが重要であると感じました。

第8回演習7・8 木どり演習・木どり製材体験

午後は、午前中に木取りをした原木を実際に製材しました。

20181216inoue3.jpg

実際に製材をしてみると、原木の曲がりや節の影響でなかなか計算通りには行かず、途中で木取りを変更することもありました。
切ってみなければと分からないこともありますが、原木段階で製材後のイメージを持つ重要性を痛感しました。

20181216inoue4.jpg

製材が終わると、歩留まりを計算し、さらに全ての製材品価格の合計から元の原木の価格を引いたものをグループ毎に出して、どの程度利益が出たのかを確かめました。

能口氏には、
「木取りによってはもっと高く売ることができた。
歩留まりをよくすることも重要だが、ただ歩留まりだけにこだわるのではなく、どこで切れば節が出ないのか、どの長さの製品にするべきか考えて、製材しなければならない」

と指摘を受け、結果的に歩留まりが落ちても、製品全体の価格は高くなることもあるとのことでした。
それらの具体例を実際にいくつかの部材を使って解説していただきました。

原木の持つ可能性をどれだけ引き出せるかは、木取りの上手さに掛かっていると言っても過言ではないと思いました。


第9回
日時 :1月12日(土) 10:00~17:00
講師 : 能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
場所 : 近畿中国森林管理局
内容 : 座学9「木材コーディネート事例A一般建築」10:00~11:00
座学10「木材コーディネート事例B公共建築」11:00~12:00
座学11「関係者ネットワークとリスクヘッジ」13:00~14:30
座学12「森林と木材流通の各種制度」14:30~16:00
木材コーディネート事例発表会16:00~17:00