座学9-12木材コーディネート基礎講座(平成30年度)

2019年1月21日
木材コーディネート基礎講座はいよいよ大詰め第9回目が開催されました。
今回はインターンシップ生の井上がレポートします。

第9回の講座は以下の通りです。
【講座概要】
日時 :1月12日(土) 10:00~17:00
講師 : 安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表理事)
能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
山崎正夫(SHARE WOODS代表・准木材コーディネーター)
事務局:安田哲也
インターン生:井上峻太郎
場所 : 近畿中国森林管理局
内容 : 座学9「木材コーディネート事例A一般建築」10:00~11:00
座学10「木材コーディネート事例B公共建築」11:00~12:00
座学11「関係者ネットワークとリスクヘッジ」13:00~14:30
座学12「森林と木材流通の各種制度」14:30~16:00
木材コーディネート事例発表会16:00~17:00

【講座内容】

<講座レポート 作成者:井上峻太郎>

座学9 木材コーディネート事例A 一般建築例

サウンドウッズ代表理事の安田氏による講義よりはじまりました。
ここでは改めて木材コーディネーターの役割を確認し、民間における木材コーディネートの事例が紹介されました。

20190112inoue01.jpg

「サウンドウッズが目指す木材コーディネートとは、森林所有者への利益の還元はもちろんだが、同時にユーザーに良質な木材を提供できること。
流通の両端を満足させるために木材流通を統括し、流通全体の利益を適切に分配する必要がある」
「木を使うことは手段で、それを通じて林業の持続的な経営を支えるのが目的」

と木材コーディネーターはどうあるべきか改めてその役目について復習しました。

木材コーディネーターの契約形態については、木材コーディネート料(コンサルティング料)はまだ社会で認知されておらず、これのみで収益を得るのは難しいとのことでした。

また、安田氏が能口氏と共にサウンドウッズを立ち上げた経緯についてもご自身の経歴から説明していただきました。
民間のコーディネート事例としては、県内人工林の活用した家づくりのサポートや、建築のニーズと立木生産の仲立ちができる立木検索システムの例などの説明がありました。


座学10 木材コーディネート事例B 公共建築例

引き続き、木材コーディネート事例として公共プロジェクトの例が紹介されました。
まず、公共建築の木質化が難しい理由について解説がありました。
そこには発注者、設計者、木材供給それぞれに課題があるとし、木材の発注や設計への不慣れや安定供給の難しさなどが複合的に絡んでいるからだそうです。
一方で一般住宅の新築需要は減ってマーケットが縮小し、非住宅の木造・木質化に期待が高まっているようです。

20190112inoue02.jpg

ここでは、サウンドウッズが事業プロデュース、木材コーディネートした公共木造施設建設事業の例として「木の学校」の事例が紹介されました。
「地域を知る教材となる、木の学校」となるように、地域資源である木材を活かし、地域の人たちとの関わりの中で建設、運営を行うプロジェクトでした。
地域材活用が地域に何をもたらすのか、具体例から学べました。


座学11 関係業者ネットワークとリスクヘッジ

午後からは能口氏による講義です。
まず、「木材コーディネーターが地域材流通のネットワークを構築する際、それぞれの地域の既存の役割を担うキーマンを探すのが重要」
と、誰が地域の木材流通の中心となっていて、そこに情報が集まるのか把握することが必要になるそうです。

20190112inoue03.jpg

そして適切なコーディネートを行うための連携業者それぞれの体制について、どんな情報をチェックしておかなければならないのか、業者別に確認していきました。
地域材流通で起こりがちなのは、対象エリアからの供給力とエンドユーザーの消費量のバランスが取れないことで、適正規模の連携を考えることが重要だそうです。
また、リスクヘッジについて計画段階における検討項目から品質の確保に至るまでの解説もありました。

座学12 森林と木材流通の各種制度

最初にFSCやSGECといった各種森林認証について、どのような目的の制度なのか解説がありました。

20190112inoue04.jpg

県産の認証材についても、地区名や業者などまで細かく記載されるようになってきているそうです。
また、補助制度については木材流通のどの段階を支援するのかによって仕組みが変わりますが、林産業界重視から森林保全を重視する傾向が強まっているとのことでした。
また、それらの結果できあがる将来の森林のイメージは、やはり山主が持つべきなのではないかと強調されていました。


これが最終講義であったため、講義の終わりに能口氏から
「この講座を入り口として、木材コーディネーターとしての視点を持ち、小さなところからでも地域の木材流通に積極的に関わってほしい」
と受講生へエールが送られました。


木材コーディネート事例発表

最後に木材コーディネート基礎講座の修了生で准木材コーディネーターの山崎正夫氏(SHARE WOODS代表)に木材コーディネートの事例を発表していただきました。

20190112inoue05.jpg

六甲山の森林の手入れや、伐採した木材を有効活用するための「KOBEもりの木プロジェクト」や、新たな神戸のものづくり拠点をめざした「マルナカ工作所」など興味深い活動がたくさん出てきました。
山を有効利用しながら、ローカルのものづくりの仕組みを活かしており、「やま」「うみ」「まち」が循環する神戸を目指されているとのことでした。
森と街を繋げるという点について受講生の皆さんもとても参考になったようでした。

木材コーディネーターは木材流通で今一番求められている人材でありながら、そのような人材を育て、雇用できる基盤が整っていないことが問題であると改めて実感しました。
山崎氏のように地域の資源を上手く活用してコーディネートしている例もあり、工夫次第でどの地域にも可能性はあると感じます。
重要なのは、ある分野の専門性を持ちながらも常にその地域全体を見渡す視点を忘れないことだと思いました。


【次回の講座】
日時 :第10回2月 9日(土) 13:00~18:00
第11回2月10日(日) 09:00~16:30
講師 :田中淳夫(森林ジャーナリスト)
能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
井上淳治(きまま工房木楽里・准木材コーディネーター)
場所 :近畿中国森林管理局
内容 :第10回ビジネスプランプレゼンテーション 13:00~18:00
第11回ワークショップ 09:00~16:30