お知らせアーカイブ

第4日木材コーディネート基礎講座(令和元年度)

2019年11月05日
降雨の影響で第3日と第4日のカリキュラムが入れ替えになり、
森林調査や立木伐採見学が原木調査の後に行われることになりました。
原木(丸太)の品質という結果を見てから、立木を見ると見方が変わります。
この貴重な体験について、引き続きインターン生が伊能、輪竹の順でレポートします。


【講座概要】

日時 :令和元年10月20日(日)9:00~16:00
講師 :井上淳治(准木材コーディネーター)
事務局:安田哲也
インターンシップ生:輪竹剛、伊能健悟
場所 :井上氏所有林、東吾野公民館  
内容 :演習A 森林調査・立木伐採見学(9:00~12:00)
演習B 原木の品質(13:00~15:00)
演習まとめ(15:00~16:00)

【講座内容】

<講座レポート1  作成者:伊能健悟>

午前は樹木の成長具合や製品として予想される品質について定性的に判断しましたが、午後は胸高直径や樹高を測定することで、立木・森林の定量的な評価を行なっていきました。

演習A 森林調査・立木伐採見学

この講座では、樹種の見分け方、実生苗と挿し木苗の違い、樹皮から見る個体の成長速度といった一本一本の立木に対する観察方法を学びました。
個人的に特に印象的だった内容は飯能で行われている「立て木」という山の仕立て方、そして立木の成長のバラつきです。

20191020inou01.JPG

立て木というのは、大径木が高く売れていた時代の管理方法の一つで、ざっくりと言ってしまうと、成長の良い木・将来大きくなりそうな木を残して育てる方法です。
井上氏の山を歩いていると、立て木によって残された木が、まだ細い状態の木々の中から突然立ち現れてきます。
管理手法が樹木の見た目として表れるには何十年もの月日が必要になりますが、まさにその由来を感じる体験ができました。

20191020inou02.JPG

立木の成長のバラツキは、少し専門的に言えば個体の形質の差のことになります。
井上氏の森林の中では、挿し木苗以外に実生苗によるものもあります。
いわゆる「クローン」ではない実生苗由来の個体に関しては、同じ樹齢・立っている位置も近い個体同士にも関わらず太さ・樹皮が大きく違うことが観察されました。
同じ樹木と言っても、人のように一つ一つの個体が大きく差があるのだということがわかりました。

20191020inou03.JPG

立木伐採では、井上氏が準備してあったチルホールを利用した伐採を見学しました。
目の前で行われる伐採はとても迫力があり鳥肌が立ちました。
実際に木が倒れた時の音・衝撃から、普段感じることができない樹木の重さを知ることができました。

演習B 森林の測定

まずは立木の基本的な測定方法・計測機器の扱い方について説明があり、受講者ひとりひとりが実際に測定を行いました。
樹高の測定では測定者によってバラつきも大きく、正しく測定することの難しさを実感しました。
また、計測機器そのものも普段生活している中では目にしないもので、扱い方になれるのも少し時間を要しました。

20191020inou05.JPG

立木の測定を終えたあとは、森林全体の定量的な推定をするためのプロット調査を行いました。
対象林地内に四つのプロットを設定し、各班が一つのプロットを担当して測定を行いました。
山の斜面の中で計測機器を持って測定することは簡単な作業ではありませんが、各班それぞれ班員同士で協力することで、スムーズに測量していました。

公民館に戻ったのちに、これらの測量結果から森林内に存在する樹木の本数・材積を推定し、さらにそこから対象林地より生み出すことのできる収入について計算を行いました。
簡単に言ってしまえば、山の価値を試算することは在庫管理に他ならないため、森林を利用する林業の経営において必須のスキル・作業を経験することができました。


<講座レポート2  作成者:輪竹剛>

演習A 森林調査・立木伐採見学

全員ヘルメットを着用し、井上氏が施業している林業の現場である山林へ入ります。
午前は山の植生と一本一本の立木を見ながら、適地適木の考え方や育っているそれぞれの立木が外見上どのような特徴を持っているかについて説明がありました。

森に入り、約150年前に植林された記録が残っていると井上氏から説明を受けました。
西川材の林業地域について前日の演習でも聞きましたが、先人たちがこの場所で苗を植えて育てていたこと、そしてその歴史の中で改善が積み重ねられて、現在のこの美林があるのだということを実感しました。

20191020watake01.JPG

また、西川材林業地域の特徴として、「立て木」という習慣があるという説明がありました。
「立て木」とは、一本だけ生育の良い木を伐採せず更に生長させ、その林家で特別な支出が発生するときに伐採して換金することで、林家の家計を支える木として残される木なのです。
とはいえ、林業の施業体制の変化と木材の需要の変化という二つの大きな変化の中で、大径木となったこの立て木を活かすためには、木材コーディネーターは何ができるのかを考えさせられる場面でもありました。

枝打ちや間伐などの手入れがされていて、下層植生も多くあり、とても豊かな森林であると感じます。
下層植生の種類をみて、その土壌がスギに適しているのかヒノキに適しているのかという点についても説明がありました。
スギとヒノキ、それぞれの樹種に適している土壌に生える植物は地域によって違います。
森林に携わって仕事をするのであれば、まずはその施業する土地をよく知らなければなりません。

20191020watake02.JPG

次に1本のスギを抽出し、その木の太さや高さからどれだけの木材が製品として切り出せそうか考え、そして実際に伐倒して確認します。
受講生全員、緊張感を持って伐倒の現場を見学しました。
立木の状態で予測できることと、伐ってみて初めて分かることの違いをその場で見て学べるのは、とても貴重な機会でした。

演習B 森林の測定

一緒に立木の高さや曲がり方、節や枝の様子などをチェックしました。
慣れない測高器を使ってみると、計測する人ごとに結果がバラバラになっていました。

20191020watake03.JPG

釣り竿を用いて設定した100㎡の円の平面の中に、胸高直径と樹高がそれぞれどれくらいで、何本の木が育っているかを測り、森林資源量を測ります。

20191020watake05.JPG

測った値をもとに1haあたりの材積が算出され、金額に換算するとかなりの金額となります。

しかし、伐採して搬出する費用や、前日に学んだ市場で売るための手数料などを木材の売却収入から差し引きしたときに、次の時代の為に植林をして、下刈り、間伐、枝打ちなどを行うまでの投資に回せるお金が残るのか、という課題が見えてきます。
現在の林業が抱えている問題を、具体的な事例で理解する実習となりました。


【次回の講座概要】

日時(第5日):11月16日(土) 10:00~16:30
日時(第6日):11月17日(日) 10:00~16:30
講師 :能口秀一(木材コーディネーター)
安田哲也(一級建築士)
事務局:安田哲也
インターンシップ生:輪竹剛、伊能健悟
場所 :木材・合板博物館
内容(第5日): 座学K 関係業者ネットワークとリスクヘッジ(10:00~12:00)
座学E 木材の活用・カスケード利用(13:00~14:20)
座学F 木材の価値と価格(14:30~15:50)
考査EF(16:00~16:30)
内容(第6日): 座学L 森林と木材流通の各種制度(10:00~12:00)
座学G 木材の活用・カスケード利用(13:00~14:20)
座学H 木材の価値と価格(14:30~15:50)
考査GH(16:00~16:30)

第3日木材コーディネート基礎講座(令和元年度)

2019年11月05日
今年度から兵庫県丹波市から埼玉県飯能市にフィールドを変えて
木材コーディネート基礎講座の演習を実施いたしました。
新しい場所に加えて、台風の影響による雨天および演習地の足場の悪化、
そんな中、カリキュラムを編成しなおして、無事に開催いたしました。
本日は、インターン生によるレポートを伊能、輪竹の順でお送りします。

【講座概要】

日時 :令和元年10月19日(土)10:00~17:00
講師 :井上淳治(准木材コーディネーター)
事務局:安田哲也
インターンシップ生:輪竹剛、伊能健悟
場所 :東吾野公民館、吾野原木センター、
             雑貨カフェKinocaの製品保管庫
内容 :演習C 木材の計量・原木市場見学(10:00~12:00)
演習D 木材のグレーディング(13:00~16:30)
演習まとめ(16:30~17:00)

【講座内容】

<講座レポート1  作成者:伊能健悟>
前日の降雨により、山林内の歩行条件が厳しくなったことから、当初の予定を変更し、3日目に製品評価・原木市場視察、4日目に森林調査という順番に変更になりました。
事務局より全体の流れについて説明がありました。続いていよいよ講義です。

演習C 木材の計量・原木市場見学

講師の井上氏から丸太の材積・製材品の見方について説明がありました。

20191019inou01.JPG

丸太の材積の計算は、一般的な円柱の体積を計算するのよりも複雑になります。
これは木が曲がっていたり細りがあったりして、仮想的な円柱では材積をうまく近似することが出来ないからです。

20191019inou02.JPG

そこで日本では末口二乗法という特殊な計算に従うのが通例になっており、その計算の際に注意すべき「丸太の直径括約について」「材長による直径の補正」などについて、井上氏から図解・具体例を含めて解説をいただきました。

木材の評価について学んだあと、東吾野公民館からすぐの飯能市原木市場に視察に向かいました。

20191019inou03.JPG

ここでは実際に原木市場で働いている方から、原木市場の役割・機能、具体的な作業の流れといった一般的な市場に関する説明に加え、飯能市原木市場ならではの地域的な特徴についても説明がありました。

その後、実際に原木市場の中を歩き、先ほど学んだ丸太の材積計算・芯抜きや曲がりといった丸太の特徴から、製材品にした時に表れる特徴などを推定し、丸太の値段にあたりをつけるといったかなり実践的な内容を学びました。
その中で丸太に貼られている伝票の意味や、買う人・売る人の考え方といった原木市場を見る際に必要な知識について説明いただきました。


演習D 木材のグレーディング

昼食を挟んだのち、井上氏の材が保管されている雑貨カフェKinoca隣の製品保管庫に移動して、丸太・製材品の観察・計量を行いました。

まず、受講者は四つの班に分かれ、それぞれの班ごとに丸太を選び、その丸太に関して観察・計量を行いました。
丸太の材長・直径の測定から始まり、材積の計算、節が出てきそうな場所のチェック、材の曲がりといった丸太の値段に影響してくる特徴を全員で確認していきました。
そして、それぞれの丸太に対して班ごとに木取りを行いました。

今回、細りもない直材というゆるい条件でしたが、それでも高い歩留まりを達成するのは難しく、木取りの奥深さを実感しました。

20191019inou04.JPG

続く製材品の観察では、樹種はスギ・ヒノキ、乾燥手法は人工乾燥・天然乾燥、人工乾燥では低温乾燥・中温乾燥・高温乾燥のものが並べられており、それぞれの違いを実際に目で見て確認することができました。

同じ樹種でも乾燥手法によって色に差が出たり、含水率・ヤング係数も値に差が出ることを確認できました。

20191019inou05.JPG

含水率・ヤング係数の測定では、測定原理の説明から入り、実際に手持ちの計測器で受講者が測定を行うという流れで進みました。
その際に「できるだけ平均的になるように測定する」「樹種によって設定・操作を変える」といった操作・測定の一つ一つの注意点も説明いただきました。


<講座レポート2  作成者:輪竹剛>

前週末に通過した台風19号の大雨で、今回演習を行う地域も河川の氾濫や土砂崩れなどの被害が起きました。
演習フィールドである山林では幸い大きな被害は無く、無事に講座を開催することができましたが、地域の中心を流れる高麗川(こまがわ)はこの日もまだ泥水がなみなみと流れており、降雨量がいかに多かったがわかります。

演習C 木材の計量・原木市場見学

この地域で産出される木材である「西川材」というブランドと、流通の概要について井上氏から説明を受けました。

20191019watake001.JPG

今回の演習フィールドとなる高麗川に加え、入間川(いるまがわ)、越辺川(おっぺがわ)流域の山林は江戸時代からの林業地域であり、伐り出した木材(スギ、ヒノキ)は、筏で流し荒川を伝って江戸の町づくりのための建材として活用されてきた歴史があります。
江戸の西の川から流れてきた木材であったことから、「西川材」と呼ばれてきたそうです。
現在も木目が緻密に詰まっていて節が少ない良材というブランドが確立されています。

吾野原木センターは開設されて35年、西川材の林業地域の中では唯一の原木市場です。
最初に、直径1m近くあるスギの大径木を前にして、大野さんから説明がありました。

20191019watake02.JPG

これだけ太い木材であれば、とても高い値段で取引されるのでは?と考えます。
大野さんの説明の中では、大径木は四方(全ての面)柾目のとてもきれいな柱が複数本とれるのがメリットであるが、現在は四方柾目の柱よりも無節の柱に需要があるので大径であるメリットが以前ほどない、とのことでした。

また、この地域には木目の見方やノコ刃の入れ方に長けた製材のベテランの職人さんはいるけれども、大径材を挽くための大型の設備がないために地域の中で大径材を製品化することが難しいという問題もあります。
こうした大径材も含めた地域材の活用のために、現在ある問題に対してどう解決方針を示していくか、これも木材コーディネーターの役割だと思いました。

大径木を扱う注意点として、材の中に金属(釘など)が入っていないか確認する必要があります。
製材する機械に金属が巻き込まれて機械が壊れたり大きな事故につながったりする危険性があるためです。
大昔にわら人形を打ち付けた五寸釘が刺さったまま釘を巻き込んで生長し、そのまま伐られて製材された木がある...という、おどろおどろしいエピソードもうかがいました。

20191019watake002.JPG

演習D 木材のグレーディング

午後の演習では、一本の丸太の材積計算と木取りを行いました。
まず末口の直径を測り、丸太の長さを掛け合わせて材積を出します。
丸太の品質もこのタイミングで目視で見定めます。確認することは、節の跡が木口に出ているか、樹皮の方からも見て節の跡はあるかどうかです。

20191019watake03.JPG

一つ一つの丸太の材積だけでなく、受講生グループが感じた内容も含めて発表し、それに対して井上講師からコメントを受けます。
枝が自然に落ちた跡と、枝打ちをした跡の違いの見分け方など、実物を見て理解できることが多かったです。

20191019watake06.JPG

そして今回木取りの墨線を引いた丸太は、12月の演習で実際に製材します。
墨線どおりの木取りができているかチェックします。
どのような結果になるかが楽しみです。


【次回の講座概要】

日時 :10月20日(日) 10:00~16:30
講師 :井上淳治(准木材コーディネーター)
事務局:安田哲也
インターンシップ生:輪竹剛、伊能健悟
場所 :井上氏所有林、東吾野公民館
内容 : 演習A 森林調査・立木伐採見学(9:00~12:00)
演習B 森林の測定(13:00~15:00)
演習まとめ(15:00~16:00)