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平成29年度木材コーディネート研修会第3回

2018年5月01日
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平成29年度木材コーディネート研修会第3回目が開催されましたのでレポートいたします。

【研修会概要】

<第一日目>
日時  :2018年4月21日(土) 12:55 ~18:00
会場  :静岡県浜松市天竜区
運営  :木材コーディネート研究会平成29年度世話役
受入  :天竜林業研究会(ファシリテーター:山田真弓)
案内  :鈴木将之氏、鈴木健太氏、熊平智司氏、森下広樹氏
テーマ :具体的な森林管理および木材販売事例に学ぶ~静岡県天竜地域編~
内容  :
   12:40 西鹿島駅集合・受付
   12:55 第3回研修会はじめに(船明運動公園駐車場)
   13:30 視察地1「鈴木耕治様所有林」見学
   15:55 道の駅「くんま水車の里」休憩
   15:20 視察地2「熊平智司様所有林」見学
   17:00 視察地3「すずくま磨き丸太工場」見学
   18:00 第1日目おわりに

<第二日目>
日時  :2018年4月22日(日) 9:00 ~12:00
会場  :静岡県立自然の森公園森の家・大会議室
運営  :木材コーディネート研究会平成29年度世話役
受入  :天竜林業研究会(ファシリテーター:山田真弓)
アドバイザ:鈴木耕治氏、太田誠氏、森下広樹氏
テーマ :木材販売戦略を立案
内容  :
     9:00 第2日目はじめに
     9:15 ワークショップ「天竜の森と材の強みとは」
   10:30 ワークショップ「強みを活かした商品・サービスを想定ターゲットへ」
   11:25 ワークショップ「発表:指名買いしていただけるようなファンを育てる
            製品・サービス」
   11:50 天竜林業研究会による講評
   12:00 第3回研修会おわりに


【研修会内容】

研修会が最終回になり、今年度研修会で得たことを元に、どのように森林経営を支援していくのか
実際に林業地域に出向いて、現行の施業より得られる材を念頭に考えていきます。

第1日目

大変良い天気に恵まれました。
まず船明(ふなぎら)運動公園駐車場に、天竜林業研究会の本日ご案内いただく方と
受講生全員が集合しました。

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開会式として、案内してくださる方のご紹介や本日の流れと目的について説明がありました。
ここより、天竜林業研究会にも所属している木材コーディネーターの山田さんが
ファシリテーターを担当します。


視察地1:鈴木耕治様所有林

駐車できる道沿いからアクセスできる、入りやすい山をご紹介いただきました。
下層植生が多く、「林立」ということばしか浮かばないほどまっすぐで立派な針葉樹。
大変良い天気だったこともあり、日差し輝く明るい森に、受講生は思わず息をのみました。

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施行についての説明は、所有者のご子息の鈴木健太さんが担当されました。
「いりやまき」13代目に当たるそうです。
もともと林業地ではなかったが、西川林業地へ修行にいかれて「二代木」施業をはじめられたとのこと。
背の低い細い木は30年生、背が高く太い木は80年生として育てておられるそうです。
太い木のそばで植林すると初期成長が抑えられるなど、なるほどとお話を伺いました。


植林については、鹿との闘いらしく、対策として柵を講じると搬出が難しくなるので
苗策を設置せずに下層植生によって鹿を寄せ付けないようにしているとのこと。
現地へ行くと、試行錯誤されているのがよく伝わってきます。


視察地2:熊平智司様所有林

道の駅「くんま水車の里」で、「やましち」12代目の熊平智司さんが合流されました。
休憩をしたのち、清流沿いを進んだところの森をご紹介いただきました。
少し太陽が傾く中、おだやかな風が抜ける森で作業道が広めに敷いてありました。

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土壌によりスギとヒノキの植生地が分かれているとのこと。
枝打ちがされている箇所とされていない箇所がはっきりとわかるのですが、
枝打ち材として有望な立木のみ施業されているとのこと。
ある程度の高さからは枝が伸び放題になっているので、よくわかります。



磨き丸太や鯉のぼりの竿向けになる丸太材を販売されている他、
シキミやサカキも手掛けていらっしゃって、針葉樹だけではなく山全体を通して
林産物を出荷されていることも伺いました。
また、設計図面から必要な材を見出す製材所と協力して川下への販売にも
取り組んでいると説明いただきました。

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視察地3:磨き丸太工場

鈴木将之氏と熊平智司氏が共同で「すずくま」ブランドとして
生産している磨き丸太工場に伺いました。

艶やかな木の肌を見せている磨き丸太が壁に立てかけてありました。
屋内に入るとさらに立派な磨き丸太が並んでいて圧巻です。

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別棟では、磨き丸太をスライスして家具向けに仕立ててあったり、
枝付のまま木の皮が剥かれて、ユニークな表情をみせている磨き丸太材もありました。

保育所などの施設には枝付の磨き丸太が好評だそうです。
施設の真ん中に設置するケースが多いそうです。

日も陰ってきて明日のワークショップの題材にできるか思案する人もいたのではないでしょうか。

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第2日目

ワークショップ「木材販売戦略の立案」

翌朝より、昨日視察した森林を思い出しながら、ワークショップが始まりました。
昨日視察に同行していただいた方の他、別の方も、アドバイザーとして参加いただきました。

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まずは、事前に事務局がヒアリングした「天竜林業会がいだいている課題と現状」を
共有したうえで、さらに、昨日見学した視察地の印象を共有を図ります。
4グループに分かれて、グループごとにまとめ発表して会場全体で共有します。

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販売物となる「立木」だけでなく、森林や施業・立地・携わる人について、と
包括的に意見が出され、この時点で「木材」以上のものを販売戦略に盛り込んでいこう
という意識が醸成されたように思います。

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次に、強みを活かした商品・サービスとターゲットについてメンバーの意見を
グループの意見をまとめていきます。
これがなかなか時間がかかります。
これまでの取り組みや施業についての補足などは、二日目にご参加いただいた
鈴木耕治様、太田誠様、そして初日より同行いただいている森下広樹様に
グループ間を回遊しながら説明いただきました。


各グループに、森林林業分野・流通分野・利用分野とそれぞれメンバーがいるので
過去の経験や凡庸な意見にするどいツッコミが入り合いまとまりません。
「天竜材」のメリットを考え抜いて、なんとかカタチができたでしょうか。
第1回目で学習した「森林経営計画」にそれぞれどのように反映させるか、
盛り込んでいただきました。


制限時間いっぱいになり、用意できた班から発表することになりました。
建築への展開 2グループ
企業への連携展開 1グループ
芸術家との融合展開 1グループ

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最後に、天竜林業研究会の方からは次のような講評を頂きました

・川下の視点の意見を聞く機会が少なかったので良かった

・外部の提案を聞くことにより山主の保守化や発想の硬直化を防ぎたい

・建築を通して、幼少期からの木材利用者の育成は興味深い

・建材以外の木材利用の可能性について興味深い  ほか

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内容の濃い二日間でした。
2月から続けてきた連続講座の研修会は、
座学の後の視察は大変有意義で得るものが多かったと思います。

天竜林業研究会のみなさま、視察を受け入れていただきありがとうございました。
今後是非とも木材コーディネーターと連携いただければと思います。

今年度3回にわたって開催した研修会については木材コーディネート研究会まとめをいたします。



平成29年度木材コーディネート研修会第2回

2018年3月16日
平成29年度木材コーディネート研修会第2回目が開催されましたのでレポートいたします。


【研修会概要】

日時 :2018年3月10日(土) 13:00 ~ 17:00
会場 :近畿中国森林管理局
運営 :木材コーディネート研究会平成29年度世話役
テーマ: 「地域材」ブランドに頼らない「生産者ブランド」は可能か?
情報提供:安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表、兵庫県、平成29年度受講生)
     戸田昌志(戸田材木店経営、大阪府、平成26年度受講生)
     能口秀一(有限会社ウッズ代表、兵庫県、木材コーディネート基礎講座講師)
内容 :
   12:30 受付開始
   13:00 はじめに
   13:15 話題提供
      「地域材を取り巻く現状」 安田哲也
   13:40 事例報告
      「「地域材」ブランドに頼らない販売戦略
       ~自社製品の商品化について~」 戸田昌志
   14:30 事例報告
      「木材コーディネーターとして取り組む森林所有者支援
       ~森林所有者の主体性を生み出すために~」 能口秀一
   15:40 グループワーク
      質疑応答・多様な資源活用の事例
   17:00 おわりに

【研修会内容】

第2回の議論のテーマは「森林所有者に収益をもたらす森林経営サポートのための木材コーディネート」とし、これに向けて、森林資源価値の最大化のために木材コーディネーターのかかわり方として、「木材販売方法」と「森林の多面的活用」について事例報告をしていただき、議論に入ります。

話題提供:「地域材を取り巻く現状」

NPO法人サウンドウッズの安田が、はじめに前回の振り返りを行い、参加者の記憶をよび戻しました。
前回の最後に議論した「森林経営計画作りが森林所有者にもたらすメリット」のおさらいです。
第二回から参加される方には、資料による予習をお願いしていたので何とかついてきていただきたいところです。

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次に、近年よく使用される「地域材」について使用する主体により意味合いが少しずつ異なっていることについて説明がありました。
特に政府が使う「地域材」とは、「国産材」のことだそうです。
また、前回の研修会でよく耳にした認証材についても、品質を保証しているわけではない、と説明がありました。
基礎講座でも触れている点ですが、かなりの復習になりました。


事例報告:「"地域材"ブランドに頼らない販売戦略~自社製品の商品化について~」

本日話題提供していただくのは戸田材木店の経営者、戸田さんです。木材の販売のほか、木材について小学校へ出前講師されるなど、木材についての知識の普及を進めています。

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街の材木屋さんとして自己紹介されましたが、基礎講座で製材所を訪問しているためそのイメージを持ちますが、街中での材木屋がどのような仕事(取引)をされているのか説明していただきました。
建材を必要とする業者だけでなく、一般のお客さまにも販売されているとのこと。
一般のお客様への販売は、購入を判断していただくためにも木材の情報をきちんと提供していくことが大切ですが、同時に木材の生い立ちや一般にはわかりにくい価格の差について説明できると、尚更、安心して購入していただけるとのことです。

また自社ブランドを展開されているとのこと。
市場のニーズを汲むなどいろいろマーケティング手法もありますが、自分の夢を詰め込んだ商品を展開されているそうです。
自信をもって商品説明ができるため、お客様に安心して購入していただくことにつながるのではないでしょうか。
売り込むより、気になって見に来ていただき、買っていただく。ここに何やらヒントがありそうです。


事例報告:「木材コーディネーターとして取り組む森林所有者支援~森林所有者の主体性を生み出すために~」

基礎講座でもお馴染みの能口講師より、森林所有者の主体性を生み出すための取り組みについて紹介していただきました。
能口さんが経営されている有限会社ウッズでは、立木・原木を見極めて製材し販売する以外にも、地域の方が地域の森林をどのように管理していくのか仕組みづくりを支援されています。
今回は、地域の方が森林経営していく仕組みを作るうえで、森林経営計画の作成とのつながりを伺うことが出来ました。

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地域資源活用を前提として森林調査に入る時は、森林活用するゾーンと木材利用するゾーンを見極めるようにしているとのこと。
森林活用とは「空間利用」。地域の人が山に入ってレクリエーションを行うための場所です。
原木調達のために山に入ることがあっても、森林活用と木材利用の計画を立てるには、森林全体像を見る必要があるとのこと。

森林経営計画を作成するために、森林全体像を見る機会が得られるなら、地域の人がその山をどのように活用するのか、そのためにはどのような施業が要るのか相談しながら決めていくことができる。

木材利用ゾーンについては、良い品質の立木の個所を地図に落とし込み、伐採して製材したときの品質情および価格情報を正確に管理していけるようにしているとのこと。情報を元に同じ林相の価値が算出でき、施業の方針が立てられる。価格決定の仕組みをきちんと作れば、山主のやる気につながる。

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森林経営計画の作成は、単に最低限の施業計画を立てるのではなく、地域を巻き込んで地域の将来を一緒に描く機会にすることができるのではないでしょうか。


グループワーク:質疑応答・多様な資源活用の事例

3グループに分かれて、事例報告の内容について疑問点を抽出し、解消しました。
それでも解消しない疑問については、全体で共有し、講演者に質問し回答をいただきました。

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主な質問は次の通り
「戸田材木店の生産者ブランドとは産地・素材製造・製材業のどの業種の名前になるのか」
・その製品を作り出したときに最もこだわりが強かった人の名前

「戸田材木店のヒット商品はなんですか」
・(木材の背景や用途をしっかり説明できる)パネル式床材です

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「能口さんの森林全体像を見るときの手法はどうやったら習得できるか?何に着目しているのか?」
・手法は特にない。ざっくりとみている。後で記録が残せるように配慮している。

「どうやって需給をマッチングさせているのか」
・顔が見える範囲で行い、需給について無理をしない。
・在庫を持たなくしている。不足の場合は同業者に連絡して融通してもらう。


「地域に森がなく他地域に頼りたい場合はどこから話をつければいいのか」
・地域材や流域材などこだわりをもって。
この質問については、各木材産地から是非利用していただきたいとアピールがありました。

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その後、「多様な資源活用の事例」に移る予定でしたが、時間がなくなり、三回へ持ち越されることになりました。


【次回の研修会】

第3回木材コーディネート研修会
日時 :4月21日(土) 13:00 ~ 17:00、4月22日(日) 9:00 ~ 12:00
集合 :静岡県立森林公園森の家
案内 :山田真弓(MORI-IKU代表、静岡県、平成27年度受講生)
受入 :天竜林研グループ
内容 :具体的な森林管理および木材販売事例に学ぶ(静岡県天竜地域編)


平成29年度木材コーディネート研修会第1回

2018年3月02日
木材コーディネート研究会では、今年度(平成29年8月から平成30年7月)の研究会テーマと
具体的な研修内容について議論を重ねてきました。

今年度は「木材コーディネーターによる森林経営支援はどうあるべきか」をテーマとし、
2回の座学と1回の視察研修を行うことといたしました。

平成29年度木材コーディネート研修会第1回が開催されましたのでレポートいたします。


【研修会概要】

日時 :2018年2月24日(土) 13:00 ~ 17:00
会場 :近畿中国森林管理局
運営 :木材コーディネート研究会平成29年度世話役
テーマ: 「森林経営計画策定の目的・現状・課題
    ~森林所有者が持つべき森林経営のビジョン~」
情報提供:山田真弓(MORI-IKU代表、静岡県浜松市、平成27年度受講生)
     井上淳二(きまま工房・木楽里主催、埼玉県飯能市、平成27年度受講生)
内容 :
   12:30 受付開始
   13:00 はじめに
   13:15 講義
      「森林経営計画の実際~本来の目的と現状について」 山田真弓
   14:15 事例報告
      「西川林業地で取り組む計画策定に向けて予測される課題」 井上淳二
   15:15 グループワーク
      「森林所有者は計画に何を求めるか・策定のための課題解決」
   17:00 おわりに

【研修会内容】

第1回目では、木材コーディネート領域の最上流ともいえる森林管理と森林経営に焦点をあて、木材生産に影響を及ぼしている森林経営計画制度をテーマに、講義・事例報告・グループディスカッションを行い、森林所有者が持つべき森林経営計画のビジョンについてまとめていきました。

講義:「森林経営計画の実際~本来の目的と現状について」

本日講義を担当する山田さんは、MORI-IKUを立ち上げ木育活動を進める傍ら、森林組合や民間事業体、個人林業家などの森林経営計画の策定や運用支援に従事されています。

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まず、森林経営計画制度について認定要件や必要な書類、作成手順について説明がありました。
森林の所有者や森林の情報は、地方行政機関が管理する森林簿にあるものですが、実体とかけ離れているとのことでした。
あてにならない森林簿とどのように折り合いをつけて、森林経営計画を作成すればいいのか、現場の並々ならぬ努力が想像されます。

次に、森林所有者にとって森林経営計画制度についてご紹介いただきました。
浜松市が支援して、天竜という有名林業地はFSC認証材を生産しています。
経営計画を作成することがFSC認証を受ける要件でもあり、作成しなければFSC認証材の販路に乗せられなくなります。
個人所有者は策定して実行することが難しく、森林組合に委託すると施業の自由度がなくなり不便と感じているとのこと。
計画をわざわざ作成するのに、施行の自由度が少ないと感じていることに課題が潜んでいるようです。

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次に、プランナーにとっての森林経営計画制度について感想を頂きました。
森林経営計画を作成すると補助金が支給されるのですが、補助金目当ての計画になっていて、市場を考慮しない大量供給に陥っているとのこと。経営である以上、林業を持続できるだけの対価は木材生産から必要だが、計画的な素材生産・品質重視の視点が欠落しているとのこと。
森林経営を持続させるための販売計画が、森林所有者にとって必要だ、と現場でも上がっているのですね。


事例報告:「西川林業地で取り組む計画策定に向けて予測される課題」

本日事例を紹介していただく井上さんは、西川林業地で代々続く林業家で、森林教育活動を熱心に進められてきました。また、愛猫にスギの学術名から名前を付けたり、木工房・木楽里を主催され、かんなくずよりアクセサリーを考案して広めるなど、多彩な活動を展開されています。

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まず、森林経営計画を策定する目的について、森林認証が取得しやすく自治体の支援制度を受けやすいと説明していただきました。
森林認証を取得した木材は、内装業から高く関心が寄せられているそうです。

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次に、森林経営計画策定について感じておられる課題など説明していただきました。
森林簿や森林基本図と森林の実情が合っていないことが課題だそうです。西川林業地は代々注文材を生産してきたので、土地の境界や立木情報の更新を進めて実情を把握して、ニーズに応える材を提供できるようにされているそうです。
また、個人所有林が点在されているため、森林経営計画の要件を満たすために隣接する所有者と共同で作成する必要があるとのこと。
その場合、路網を整備するため、隣接する土地の管理が必要になるなど、計画の実行についても不安があるそうです。


グループワーク:「森林所有者は計画に何を求めるか-策定のための課題解決」

5つのグループに分かれ、講義や事例報告から生じた疑問点をお互いに解消します。
その中で解消できなかった質問を全員と共有し、回答できる方よりご説明いただきました。

主な質問は次の通り
「不正確な森林簿情報に基づいた計画が認められているのか?更新はされないのか?」
・そもそも森林簿は森林状況を把握するためのもので経営を目的としていないため、管理する情報が十分ではない
・森林経営者や森林組合の報告により更新は続けている。(行政主導での更新は行っていない)

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「森林経営計画制度は誰のためか?何のためにあるのか?」
・林業で採算がとれるようになることを目指して制定されたことになっている。

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次に、森林所有者に利益を生むための森林経営計画とはどのようにあるべきか、そのために「森林経営計画作りが森林所有者にもたらすメリット」をまとめました。
これが見えれば、木材コーディネーターがどのように支援していくべきか指針が見えてきます。

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「森林の現状把握ができる」
「森林経営計画認定に必要とされるレベルにとどまらない、価値の高い木材生産や森林管理・森林経営の長期的ビジョンを持つための情報収集ができる」
「森林資産(境界、土地(=不動産)、木材(=動産))の管理ができる」
「小面積森林を束ねて一括で森林経営(=森林管理・資源利用)ができる」

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森林経営計画の作成にも、木材コーディネーターの出番が求められそうです。


【次回以降の研修会】

第2回木材コーディネート研修会
日時 :3月10日(土) 13:00 ~ 17:00
会場 :近畿中国森林管理局
講師 :安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表、兵庫県、平成29年度受講生)
    戸田昌志(戸田材木店経営、大阪府、平成26年度受講生)
    能口秀一(有限会社ウッズ代表、兵庫県、木材コーディネート基礎講座講師)
内容 :「地域材」ブランドに頼らない「生産者ブランド」は可能か?

第3回木材コーディネート研究会
日時 :4月21日(土) 13:00 ~ 17:00、4月22日(日) 9:00 ~ 12:00
集合 :静岡県立森林公園森の家
案内 :山田真弓(MORI-IKU、静岡県、平成27年度受講生)
受入 :天竜林研グループ
内容 :具体的な森林管理および木材販売事例に学ぶ(静岡県天竜地域編)


実習5・6木材コーディネート基礎講座(平成29年度)

2018年2月26日
平成29年度木材コーディネート基礎講座もいよいよ最終回です。
第10回は、受講生各自がビジネスプランのプレゼンテーションを行い、
翌日の第11回は、プレゼンテーションについての意見交換会や
グループワークを行いました。
今回はインターンシップ生の若林、秋田の順でレポートいたします。

第10回・第11回の講座は以下の通りです。

【講座概要】

日時 :第10回 平成30年2月10日(土) 13:00 ~ 18:00
    第11回 平成30年2月11日(日)  9:00 ~ 16:30
講師 :赤堀楠雄(林材ライター)
    能口秀一(木材コーディネーター)
    島﨑淳二(一級建築士・島崎淳二建築設計室)
事務局:安田哲也
インターンシップ生:秋田麻菜香、若林知伸
場所 :近畿中国森林管理局
内容 :第10回 ビジネスプラン・プレゼンテーション (13:00~18:00)
    第11回 ワークショップ            (9:00~16:30)

【講座内容】

<講座レポート1 作成者:若林知伸>

第10回木材コーディネート基礎講座「ビジネスプラン・プレゼンテーション」

最終回は、受講生のビジネスプランプレゼンテーションです。

今回の発表者は11人。
林材ライターの赤堀氏、准木材コーディネーターであり一級建築士である島﨑氏、
そしてこれまで講義をしていただいた木材コーディネーターの能口氏をお招きして、
一人発表時間8分、講評・質問10分の持ち時間でビジネスプランを発表しました。

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みなさん、緊張した面持ちで発表です。

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講師陣からは厳しい質問や意見があがり、皆様それぞれ回答していました。

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「誰かの力を借りるということであれば、どういう人に頼むのかということを、具体的に踏み込んでほしい。」
「その企画を実行することで、どういうように社会や周囲環境が変わるかということも提案してほしい。」

「企画の中身からどのようなターゲットが対象となるのかということが絞られてくる。
そこを具体的にしていってほしい。」
「総額がどれくらいの事業で、どこに課題があるのかをつめる必要がある。
その課題を解決することをしっかりと見極めてほしい。」
「この講座を受けたことで、実務的にどんなことが必要になるかを触れることができたと思うが、どういった踏み込みの可能性が見えたか発表してほしい。」

最後には、私たちインターン生も発表の場を頂き、発表を行いました。

いろいろなプランを目の当たりにして、ビジネスの視点と木材コーディネーターの視点を両立させるためには、と考える一日となりました。
受講生は、お互いのプレゼンについて評価シートを記入し、最後に当事者にお渡ししました。
この評価シートが、今後ビジネスプランを具体的に考えるときのインプットとなるのではないでしょうか。



第11回木材コーディネート基礎講座「ワークショップ」

■ビジネスプラン・ワークショップ

第11回は、昨日のビジネスプランから、内容を掘り下げたいプランが2つ選ばれ、意見交換を行うワークショップから始まりました。

林業分野、木材利用分野の2分野から1名ずつが選ばれ、再び発表していただきました。

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そして、3つのグループに受講生が分かれ、グループごとにそのプレゼン内容に対して、課題やアドバイス、先行事例の共有などが行われました。

「イベントを開催するのであれば、自分が受けると思い込んで作りこみをしたほうがよいのでは。お客も真剣なお客が来ると思う。」
「地域を限定しすぎると、その先の展開が難しいのでは。」
「地域において活動する際に、その地域の方は受け入れる気があるのかを確認したほうがよい。」

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また受講生が実際に行っている事例も共有されました。
「山への投資という表現にすると、具体的に何が返ってくるのかが求められる。そこをつめる必要があるのでは。」
「地域のチームで課題に取り組む場合、チームのメンバーの役割を具体的にしておかないと、プロジェクトが上手く回らない。」

続いて、講師賞の発表があり賞品の授与がありました。

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■講師の講評と最近の事例紹介

林材ライターの赤堀講師より、今回の発表会全体に対しての講評、そして、林業や、木材利用における全国の様々な事例を紹介いただきました。

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「林業は、間伐して出た経費で収支が成り立つということではなく、植えるところから含めたトータルで成り立つかどうかを考えなければならない。」
「今、木材を利用しようという流れが主流だが、現在利用できるのは、過去に育てていたおかげである。
育て続けるということへの原資がないと続かない。それが忘れ去られている。」

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「今の林業はコストダウンという引き算を徹底的にするが、それで木の品質が落ちて、高く売れないなら意味がない。
引き算をしても良い木材を作ることが大切。」
「木材コーディネーターとしては、無垢の製材品をよりよく使い、山元に還元するようにしてほしい。」


■グループワークショップ

午後は、3グループに分かれてワークショップが行われました。
テーマは「大径原木を活かした商品企画の提案」
丹波実習で見学した100年生の杉林1haを皆伐して得られた材を売却するという設定で、立木価値を高めるための商品企画をグループで考えます。

まずは個人で商品アイディアを出します。
短い時間の中、次々と出される方もいれば、中々思い浮かばないといった方もいました。
その後グループで情報を共有し、どのようなアイディアが良いかを絞ります。
面白いアイディアが出て、中々絞り込めないチームもありました。
アイディアを絞り込んだ後は、商品の広告を考えます。
模造紙の半分の大きさに広告を作成し、また、どれくらいの価格や誰に売るのかといった企画内容をもう半分に記載していきました。

そして、グループごとに発表が行われました。
各グループ、ユニークなアイディアが発表され、会場も盛り上がりました。

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講師陣からは、
「丸太はいくらで買えるのか。」
「販売元にはいくら入ってくるのか。」
「製造原価はいくらなのか。」
「商品の販売方法や搬入方法は。」
といった現実的な質問があがり、皆様和やかに答えていらっしゃいました。

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「山主に還元するという木材コーディネーターとしての根本を忘れずに今後も取り組んでほしい。」
という講師の締めくくりの言葉をいただき、本講座は終了しました。


■修了式

最後に、今回の講座をもって、木材コーディネーター基礎講座の全講義を受講修了した方に対し、修了証の授与式が行われました。

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皆様ほっとされた様子で受け取っておられました。

■さいごに

早いもので、平成29年度木材コーディネート基礎講座の全講座が終了しました。
この講座をインターン生として手伝わせていただきましたが、少しでも皆様のお役に立てたなら幸いです。
私もこの講座より多くの学びを得ることができました。
ここまでこられたのも、サウンドウッズやインターン生の皆様、そして受講生の皆様のおかげです。深く感謝いたします。
またどこかで皆様とお会いできることを楽しみにしておりますし、ぜひ何か企画をご一緒できることを願っております。
本当にありがとうございました。


<講座レポート2 作成者:秋田麻菜香>

ついに養成講座も最終となる第10回・第11回を迎えました。
これまで講義いただいた能口秀一講師に加えて、今回は特別講師として、林材ライターの赤堀楠雄講師と、この基礎講座の先輩でもある建築士の島﨑淳二講師をお呼びしての成果発表会です。

第10回木材コーディネート基礎講座「ビジネスプラン・プレゼンテーション」

ビジネスプラン・プレゼンテーションでは、これまでの半年間の学びの成果としてビジネスプランを作成したものを、発表します。
11名の受講生の方々が、日頃から携わっている分野に木材コーディネーター的視点を取り入れた提案を発表しました。

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山から街へ、街から山へ、様々な角度からの提案は、どれも、受講生の個性があらわれている発表でした。

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発表後の講評では、「このプレゼンを通して、あなたは、何がしたいのか」と、時に厳しい指摘も受けながらも、講師ならではの着眼点で、今後に繋がる道を示してくださいました。

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中には、これまでの取り組みで使用した木製品を、実際に持ってきてくださる方もいらっしゃいました。 

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最後にはインターン生にも発表の時間をいただきました。受講生同様、ここでの学びが、今後に活きてくるのではないでしょうか。
講評では「木材業界は暗いニュースが流れがちだが、ワクワクするような気持ちでいてほしい」という意見が寄せられました。


第11回木材コーディネート基礎講座「ワークショップ」

■ビジネスプレゼン・ワークショップ

第11回は、まずビジネスプレゼンのワークショップ。
昨日の発表から、山側と街側の視点から一つずつ選抜し、受講生のみなさんとさらに中身を深めてゆきました。

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発表者に昨日のおさらいをしていただいた後は、チームに分かれて意見を出し合い、
「そもそもここから確認していかないといけないのでは」
「もっとこうしたらいいのではないか」
など、それぞれの案の課題と提案を発表しました。

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提案を実現させることは、なかなか難しいことですが、プレゼンを通して、自分の中にある想いを「言葉」に変換したことで、次に取り組みたいことが明確になったのではないでしょうか。

続いては、3人の講師が選んだ講師賞の発表がありました。
受賞者には、それぞれの講師がおすすめの本をお渡しします。

能口賞は、子ども向けの木に触れるイベントの提案を発表した方が受賞されました。20180211Akita3-1.JPG

島崎賞は、デザイン性のある柱に注目した発表をされた方が選ばれ、デザインの考え方に関する本が授与されました。
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山と街を繋げる提案をされた方には、赤堀賞として赤堀講師が自ら執筆された「林ヲ営ム」が手渡されました。
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■講師による発表

林材ライターとして全国の山を駆け回る、赤堀楠雄講師による発表がありました。
「林業として生活を営む」とはどういうことなのか、自らの経験を交えて、お話ししてくださいました。

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山は木を伐るだけではなく、山菜を採ったり、日用品の原料を育てたりと、様々な場面で暮らしを支えてきたこと。
また、どこも同じように見える林業でも、地域によって、人によって意味合いは異なってくること。
そういった、山と密着した生活の営みにおける、歴史や現在の課題などを、わかりやすく解説していただきました。

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なかでも、課題について述べていた際の、「林業を採掘業にしてはいけない」という言葉が印象的でした。
まずは、「林家の意欲を引き出すところから取り組まないといけない」と赤堀講師。そのためには何より、ワクワクする気持ちが重要だと言います。

■グループワークショップ

最後の講座はワークショップです。テーマは「大径木を活かした商品企画の提案」
近年、ますます長伐期施業が増え、太い木(大径木)が育ってきています。
今回は、そのような時代の課題に即したテーマに沿って課題解決案を導きだします。

これまでにも、企画をするワークショップは何度か受講していただきましたが、今回は流通と価格設定も含めて一連の流れを考えていただきました。

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様々な意見が出てきますが、全ての問題を解決する案を探し出すことに苦戦している様子がうかがえました。

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そのような中で、なんとかしぼり出した案を、「だれに」「どのように」「どんな価格で」など、企画を詳細なものへと中身を詰めてゆきます。

最後には限られた時間で考え抜いた解決案を発表していきました。

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どのチームも、太い木という特性を存分に活かした案が上がっており、興味深い内容となっていました。
しかし、講師からは、原価や乾燥に関する現実的な質問が飛び交い、まだまだ問題が多くあることが理解できました。

このワークショップでは、企画における持続性や実現性の重要さを再確認できたのではないでしょうか。

■修了式

修了式では、全11回の講座を全て受講していただいた、8名の受講生の方々に修了証書が授与されました。

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最後に能口氏は、
「流通を理解し、価値をつけることは難しいけれど、いかにして木を活かすのかという視点を常に持ちながら、これまでの経験を活かして欲しい」という言葉を残していました。
これからも、根本的な考えを忘れないように意識していかなければなりません。

事務局の安田氏は「今回、木材コーディネーターという資格を持ったことで終わらずに、これをきっかけにして次のステップに進んで欲しい」と述べていました。

■さいごに

全体を通して、毎回の講座の内容は難しく、理解しきることができていないと思っていましたが、赤堀さんの「林ヲ営ム」を読んだ際、「あ、この前講座でやってことだ」という場面がいくつもありました。
一度で数値まで理解することは至難の技ですが、流れや気持ちを、予めなんとなく把握しておくと、あとからの吸収力に違いが出てくると感じました。
基礎講座なので当たり前かもしれませんが、この講座は次のステップに向けての感覚を養う為のものだと体験を通して理解することができました。
最後になりましたが、サウンドウッズの皆様、半年間インターン生として関わらせていただき、誠にありがとうございました。

座学9-12木材コーディネート基礎講座(平成29年度)

2018年1月25日
木材コーディネート基礎講座の第9回目が開催されました。
寒波が襲い交通機関が乱れる中、みなさま全員無事揃って受講していただきました。
今回はインターンシップ生の秋田、若林の順でレポートしていきます。

第9回の講座は以下のとおりです。

【講座概要】
日時  :平成30年1月13日(土) 10:00 ~ 17:30
講師  :安田哲也(サウンドウッズ代表理事)
     能口秀一(木材コーディネーター)
     宮村 太(准木材コーディネーター)
事務局 :藤田良子
インターンシップ生:秋田麻菜香、若林知伸
場所  :近畿中国森林管理局
内容  :座学9  木材コーディネート事例A 一般建築例
     座学10 木材コーディネート事例B 公共建築例
     座学11 関係業者ネットワークとリスクヘッジ
     座学12 森林と木材流通の各種制度
     木材コーディネート事例発表

【講座内容】

<講座レポート1 作成者:秋田麻菜香>

座学9 木材コーディネート事例A 一般建築例

第9回は、サウンドウッズの代表を務め、建築士の立場から木材コーディネートに携わる安田哲也氏による講座から始まりました。

木材コーディネーターという職業は、まだまだ珍しい職業であります。
受講生の方々は、「木材コーディネーター」について学んでいるけれど、
「実際のところ、どうやって事業を進めているの?」という疑問を抱いていたはずです。

そこで受講生には、安田氏がこれまでに手がけてきた事業例について知ってもらい、
具体的な木材コーディネーター業務に関する知識を深めていただきました。

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はじめに、「木材コーディネーター」の役割や業務内容のポイントについて理解していただきました。

木材コーディネーターの最終到達点は、次世代の山を育成できるよう、
「山主さんの手元に戻るお金をできるだけ多くすること」です。

その為には木材流通の各段階で、大変多くの課題を解決していかなければなりません。
現在の山に利益がほとんど残らない流通構造にメスを入れ、山と街を繋ぐ役割を担います。

「結局、木材生産を増やすには、使ってもらう出口を作らなければならない。
でも、ただ増やすだけではいけない。付加価値をつけて良質なものを、適正な価格で取引してもらうことが必要」

「木材調達だけにとどまらず、大事なのは公平に、そしてやる気を持って取り組んでもらえるような仕組みづくりをすること。」と安田氏。

依頼される業態によって、対応はずいぶんと変わってきます。
民間事例として、住宅の建築について紹介がありました。
これまでになかった評価法の開発など、たくさんの工夫が施された仕組みについて説明がありました。


座学10 木材コーディネート事例B 公共建築例

続いての事例紹介では、公共事業です。
公共事業では民間に比べ、建設規模と必要な木材量が格段に大きくなります。

これまでサウンドウッズでは、多くの公共建設物の木造化に携わってきました。
その経験をもとに、公共事業特有の課題の乗り越え方について、小学校の木造校舎建設を事例に、
具体的な業務の流れを理解していただきました。

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「不特定多数の人が利用する公共建築物は、建てる前や建てている最中だけでなく、建てた後にも気を配るべきである」と安田氏。

どうしたら地域住民に木に対する意識を持ってもらえるのか、どうしたら木造校舎に宿る想いを後世に引き継ぐことができるのか、緻密に考え、「小学校」という特徴を存分に活かした建設プロジェクトに、受講生は驚いていたようです。

2講座を通じて、民間事業と公共事業の違いについて説明がありましたが、
最後に、安田氏は「民間と公共、どちらも大切であるのは、その地域にあった無理のない範囲でプロジェクトを進めること。
今後の地域の流通を乱してしまわないよう、加減が必要」と付け加えました。


座学11 関係業者ネットワークとリスクヘッジ

午後からは、木材コーディネーター能口秀一が講師を務める座学11「関係業者ネットワークとリスクヘッジ」が始まりました。

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まずは、木材コーディネーターとしてのネットワークの構築の方法について。
木材コーディネーターは地域材の流通の促進を行うけれど、具体的に何を目標とし、どうサポートして関係者とネットワークを形成していくべきかについて、説明がありました。

能口氏によると関係者への「問い方」が大事であると言います。
その点についても詳しく、受講者の方々には理解していただきました。

「基本的に効率的に流通が回ることを前提に取り組み、関わる事業者がコーディネーターによる案件を経験することで、次のステップにつながるようにすることを心がけている」と能口氏。
これが木材コーディネーターの基本だといえそうです。

次に、リスクヘッジについて説明がありました。
木材コーディネーターは、連携事業者の体制を熟知した上で、余裕を持ったスケジュールを立てていかなくてはなりません。

能口氏からは、日頃からリスク回避のために気をつけていることについて、説明がありました。

「良い原木からは良い製品ができるのは当然だが、良い原木が入らなかった時にギリギリで間に合わすことをなくすためのリスクの考慮が必要である」と言います。


座学12 森林と木材流通の各種制度

座学12「森林と木材流通の各種制度」では、冒頭から「森林認証には何がありますか?」という質問を投げかけられました。
首を横に傾ける受講生達。

木材には、森林認証や生産者認証など、認証制度が多く存在します。
「認証」と言われると良いイメージが伝わりますが、何を認証しているのか理解していないと意図しない木材を使うことになります。
それらの違いや、現在の木材流通において注目されつつある認証について説明がありました。

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現在は以前に比べ、適切な環境で育った木材であるのかといった、環境面での配慮が求められるようになってきたと言います。

講座の最後には、木材コーディネーターの立場で地域産材を活用させる際に気をつける点として、

「山離れが生まれる現状の中、関係者同士が潤うだけでいいのか、
どういう意義で活性化プロジェクトをやっているのかは、個人差が出る傾向にあるので、
共通の理念を最初に作っておく必要がある」

「まずは山主から意識を変えてもらうことが必要で、製材所→木材販売→工務店と段階的に対象を広げていく形をとるべきである。
そうやって山林所有者にやる気を出してもらう仕組みづくりを考えていかなければならない」という言葉を残しました。


木材コーディネート事例発表

最後の講座は、宮村太設計工房の宮村太氏をゲストに迎えての事例紹介でした。
宮村氏は基礎講座の修了生でもあり、現在は建築士という立場から木材コーディネート業務に関わっていらっしゃいます。

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まず、滋賀県での地域材を使った家づくりについて説明がありました。
はじまりは、知り合いの林業家の木で家をつくりたいというお施主さんとの出会いだったといいます。

その出会いから、できあがった家には、「大きな木は大きく使う」「使える部分はすべて使い切る」など、山から切り出された後も木が木らしく使われる工夫がたくさん施されていました。
地域材を使うという顔の見える家づくりにおいて、重要なのはこういったことなのかもしれません。
生産者と施主の双方にとって思い入れのある家が地域を活発にしていくのだろうと感じさせてくれました。

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いまでは一般人向けに森と木に関するイベントも行うなど、木材コーディネーターとして活躍されていらっしゃいます。
木がふんだんに使われている住宅のスライドを見ると、数年前までは木材なんて全く知らなかったというお話が嘘のようです。

続いて、基礎講座の受講生のときに発表したプレゼンテーションを振り返り、「現在はどれだけ進歩しているのか」発表していいただきました。
また、講師の能口氏からの質問にも答えていただきました。

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なかなか簡単にはいかないようですが、このように懸命に努力する宮村氏の姿は受講生の方々にも響くものがあったのではないでしょうか。


<講座レポート2 作成者:若林知伸>

座学9 木材コーディネート事例A 一般建築例

第9回目は、NPO法人サウンドウッズの安田氏より、これまでのサウンドウッズの活動から事例の紹介がはじまりました。

これまでのサウンドウッズの活動から、木材コーディネーターの役割と誰がお客様で、どうやって収益を得ていくのかを再確認しました。

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「どんな立場で誰にどんな利益を生み出していくかは皆さん次第であるが、サウンドウッズとしては、山の森作りに還元していくことを目的として皆さんには担ってほしい。」

「森林所有者に意識付けをしていくことと、一方でユーザーに確実に質の良い木材を届けていくということの両方を実現していくことに注力している。」

その上で、民間プロジェクトが紹介されました。
「一般の建築士は木造のことを学んでおらず経験も浅い。」
「地元にある木を用いて地元で家を建築できないこと、していないことが単純に疑問だった。」
という疑問から、サウンドウッズはスタートしたそうです。

「建築で地域材を使うことで森の間伐を行うことを建主に説明することから始めた。」

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このような取り組みの中で、印象的であったのが原木の価格設定でした。
「当初の原木価格から値上げを行うタイミングで、森林所有者が主体的につける価格を上乗せできるようにした。
搬出する木材に、値段を所有者がつけるということが重要だと考えた。」

また、プロジェクトの肝として、
「実際に木拾いをするときに、見積もりを出すことが重要である。
これにより、山から直接出す木材と量産流通されている木材を用いる割合の損益分岐点がわかる。」
と解説がありました。

最後に、これらの経験から立ち上げられた立木検索システムの紹介がありました。
これは、建築に必要な材の情報を入力すると、どの場所の木を伐採すればよいかがわかるシステムで、木造建築の設計者にとって大いに役立つツールでした。

座学10 木材コーディネート事例B 公共建築例

引き続き公共プロジェクトの紹介がありました。

政府より公共建築物の木造・木質化が推進されている中で、どのようなプロジェクトにどんな立場でサウンドウッズが関わってきたか説明がありました。

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「地域の材料を使いたいというニーズは自治体に一番ある。
しかし、そこには3つ課題があり、公共建築物の木造化を難しくさせている。」

その課題解決のための政府の支援プログラムの委託を受けた経験が解説されました。

「発注する前の支度ができていないことが、コストが嵩む要因となっていた。」
「自治体において、各役場の承認を取り付けることが最初の課題であった。そこでは合意形成のような支援も必要となる。」
「木造施設をきっちり設計できる方に設計してもらうことが重要。」
「一定の規模の建築物に対して、安定的に材が供給されるように、地元の業者に発注するためのアドバイスやコーディネートも行った。」

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また地域材を地域の業者で使えるようにするためのノウハウも紹介されました。

「地域の材を上手く発注できれば、計画に余裕が生まれ、確実に供給してもらうことができる。
その余裕が生まれることで、森林整備の計画も同時に行うことができ、地域の森林の保全や森林所有者の活性化にもつなげられる。」

ただし、そのノウハウについては注意しておかなければならない点もありました。
「何か問題があったときに責任の所在があいまいになってしまわないよう、事前にしっかりと決めておく必要がある。」
このようなアドバイスがあり、午前の部は終了となりました。


座学11 関係業者ネットワークとリスクヘッジ

午後からは、講師の能口氏より、関係業者ネットワークの構築とそのリスクについて、講座がすすめられました。

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ネットワーク構築については、
「(地域の業者が)どういう体制のところで、何が得意なのか、どういう状況だったら(発注を)こなせるのかということを事前に調べて、ネットワークを構築する必要がある。」

「プロジェクトを行った際に、その仕組みを継続させたいかどうかを(地域の行政など)依頼主に問うと必ず継続させたいと答える。
しかし実際は、木材コーディネーターが来なければ、関係がバラバラとなってしまい、継続的にプロジェクトを行えないことがままある。
地域に木材コーディネーターを育成できれば良いが、それも難しい場合が多く、課題となる。」

「皆さんが地域に初めて行ったとき、どこに森林の情報が集まっているか、どういう人がその情報を持っているキーマンなのかを把握する必要がある。
森林簿の情報と実際の情報が異なることもあるので注意しなければならない。」

といった注意点が挙げられ、各業者(素材業者や製材業者など)において、コーディネーターが把握するべき項目をひとつずつ洗い出していきました。

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「製材業者も地域によっては、分業体制になっているところがある。
そういう場所では、製材の種類によって対応してくれない業者もあるので注意しなければならない。」

そして、リスクヘッジとして、計画段階で検討しなければならない項目も確認しました。

「(特殊な製品も含めて)原木が効率よく調達できるかどうかを考慮し、地域材の利用率を設定していく。
単純に輸送費だけで決めるのではなく、できるだけ山側に利益が回るように基準を持つべきである。」

「建築部材はプロセスの進行中に変更が入ることがある。
原木の調達や製材においては、未確定で進めていって調整ができるものと、確定できるものとを分けてスケジュールを組むことが肝要。」

「予備材の設定も重要となる。
何%くらいロスが出るか予測し、代わりのものを用意するというコストとの兼ね合いを図らなければならない。」

どういった原木、製材品を優先するか確認し、座学11は終了しました。

座学12 森林と木材流通の各種制度

初めにどのような森林認証制度があるか能口氏より受講生に質問がありました。
FSCは受講生の間でもよく知られているのか皆様すぐに答えていました。

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「認証制度のマークをつけた製品を販売することで、違法伐採による材を使用していないというアピールになる。
現在では、製材所などで、そういった認証制度を知らずに、安い材ばかりを購入しているということ自体が社会的に問われることとなってきている。」
森林認証を確認したのち、生産者の製造にかかわる認証や、行政の補助制度など解説がありました。

「FSCなどの森林認証は品質の保証制度ではない。
品質の保証としてはJASなどがあるが、そのような制度と混同しないように注意する。」

「県産証明材取得には、木材生産地、伐採業者等、多くの情報が必要となってきている。
これは、林産業界を重視する流れから、森林の保全や合法木材など環境を重視する流れに傾向が変わってきているためである。」

「関係業者だけが潤うだけとはならないよう、地域材を使うことで、その地域の何が変わるのかということをコーディネーターとして意識してほしい。
最初に理念を作成しておかなければ、みんながばらばらになってしまう。」

木材コーディネート事例発表

最後に、基礎講座の終了生で准木材コーディネーターの宮村太氏から、現在の木材コーディネート活動とこれまでの事例について発表がありました。
宮村氏は現在滋賀県の湖西を拠点として、活動されています。

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初めに滋賀県の木材流通事情について、林業家、製材業者、そして建築業者に焦点をあてて説明がありました。
宮村氏はそのネットワークを活かし、一般社団法人安曇川流域・森と家づくりの会も運営されています。ネットワークを構築するに至った経緯、体験を伺いました。

「ある住宅建築物件で、建て主から、地域にお住まいの特定の林業家の木を使って家を建てたいという要望を頂き建築することになった。
これまで地域の木を使って家を建てたいとは思っていたが中々それができずにいた。
この機会はとてもよい出会いとなった。」

「初めて、木を用意していただく際にどういう木がどれくらいいるのかということを林業家の方に聞かれ、全くわからなかった。
一つずつ図やリストを作ってお願いしていった。」

「曲がっている木を小屋梁に使うことを林業家に伝えると、そんな曲がった木を使うのかと驚かれた。
それまで価値が無い物として認識されていた木を価値あるものとして利用することができた。」

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つづいて、現在の活動について説明がありました。
建て主の家族の前で木の伐採を見てもらうツアーや、伐採した木が家になるまでのプロセスを伝えるワークショップだけでなく、切り倒した木材を使用しての机作りワークショップなど様々な活動をされているそうです。

最後に、受講生時代に木材コーディネート基礎講座でプレゼンした内容について発表がありました。
講師の能口氏より、発表内容の進捗について質問がありました。

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現在も、そのとき計画した事業を続けていて、完了した部分もあるとのこと。
引き続き取り組みたいとのことでした。

【次回の講座】

日時 :第10回2月10日(土) 13:00~18:00
第11回2月11日(日) 09:00~16:30
講師 :赤堀楠雄(林材ライター)
能口秀一(有限会社ウッズ・木材コーディネーター)
島﨑淳二(島崎淳二建築設計室・准木材コーディネーター)
場所 :近畿中国森林管理局
内容 :第10回ビジネスプランプレゼンテーション 13:00~18:00
第11回ワークショップ 09:00~16:30