07/03/2020

福嶋義久さん (株)福島材木店

■平成24年度修了者

 

飽くなき探求心と地域の山・木材への熱い想いを抱く人。

株式会社福島材木店を営む福嶋義久さんのインタビューをお届けします。

 

価値に見合った製材とは

 

福嶋さんは、兵庫県加古川地域で材木店を営む四代目です。創業は1913年。建築業から事業をスタートされましたが、途中で製材機を導入し、自分たちで使用する建築用材を挽くようになり、それが現在のかたちである材木店につながったそうです。

現在は、工務店やエンドユーザー向けの木材・住宅機器・建材・テーブル材等を販売している。製材工場では、少量多品種で国産材から外国産材まであらゆる材を挽いておられます。特徴は長尺・大径木を挽けることにあります。これまで、最長だと15m(大径木ではない)、最大径だと1,100mmの米松を挽いたこともあるそうです。

 

 

製材機の奥には、加工し、養生中の材が所狭しと並べられています。

「やっぱり、お客さんからのありがとうの声が一番嬉しいね。狙い通り製材ができた時にもやりがいを感じる。丸太は製材をすると明確に節やねじれなどの特性が分かるけど、製材をする前の段階ではそれが分かりにくい。それらの特徴を見極めて、原木の特徴に合わせた製材をしないといけない。それが狙い通りだったときはすごく嬉しいね。」

 

 

木材の大規模生産化が進み、丸太ひとつひとつの特徴に合わせた製材を行う工場が少なくなっている今、福嶋さんのような丸太の目利きのできる人材は貴重です。
その目利きは、丸太を購入する木材市場で垣間見ることができました。

 

 

ここには、各所から集まった原木が樹種や直径に合わせて選別され、敷地いっぱいに並べられています。競りでは、目当ての丸太を買い付けに来る登録業者に対し、振り子と呼ばれる市場職員が、ひとつひとつ競りをかけていきます。

 

一つの競りに要する時間はものの10秒から20秒程度。この短い時間に狙い通りの材を競り落とすべく、大量に並べられた原木から目当ての材を目利きし、購入上限金額をも見極めて競り落とすのです。

 

 

見学に伺った際にも、福嶋さんは、積み上げられた原木の年輪のつまり具合や樹皮の状態などから、製材をした際に現れる節や雪害、ねじれを手際よく見極めて、そのポイントを解説して下さいました。

 

「自分たちの商売は山の木がなくなったら成り立たなくなる。だから、丸太をできるだけ安く買うんじゃなくて、ちゃんと目利きをして、価値に見合った金額で買わんとあかんねん。それで少しでも山に利益を還元して、山の木が次の世代に引き継がれていくようにせなあかん。」

 

 

山の木が丸太になるまでの過程を知るということ

 

丸太のことを知り尽くす福嶋さんが一体なぜ、木材コーディネート基礎講座を受講されたのでしょうか。

 

「取引先の方の一人に勧められたことが直接のきっかけやね。その方は、僕が受講する2年前に受講されていて、「知識が広がるので受講した方が良い」と勧められて、受講することになった。」

 

受講して、何が得られたのでしょう。

 

「丸太を加工して、製品化・住宅を建てるまでのことは一通り知っていたけど、これまで、丸太になるまでの森林や素材生産のことは全く知らなかった。基礎講座を受講することで、山側の仕事について知識を深めるきっかけになった。また、木の話ができる人が増えたことも講座を受講してよかったと感じるところかな。」

 

「例えば、異業種の方と交流を持ったとき、同じものを指していても業界により呼び名が違ったり、考え方が異なって話がかみ合わないことがあった。その点、基礎講座は、森林林業から木材製造流通・木材利用に至る様々な分野の方が受講してるけど、講座内容が全流通過程に渡るから、共通の話題ができる。そのおかげで、単なる人脈だけでなく、知識も大きく広がった。互いの知識を共有することができるのも大きな強みかもしれないね。」

 

 

そんな福嶋さんが木材コーディネーター向けに不定期で企画されるのが、競り&製材体験の勉強会です。

この勉強会では、スギの板材など、最終木材製品を寸法を含めて予め決めておき、それらを挽くことのできる丸太を木材市場で選び、競り落とし、製材する。この一連の流れを体験することができます。

 

2015年度の勉強会では、競り落とした丸太をどのように製材すると山側にいくら資金が還元できるのか、コストシミュレーションも行いました。
木材市場の登録業者の福嶋さんが講師だからこそ丸太の競りにも参加することができ、製材機も福嶋さんの指導のもと、レバーを引いて操縦できるため、参加者にとっても貴重な勉強の場となっています。

 

 

なぜこの企画を行っているのか聞いてみました。

 

「木材コーディネート研究会の良い勉強の機会になるのではと思った。木取り体験をはじめ、製材の実体験や木材市場で材を競り落とす経験ができる機会は非常に少ないと思うからね。この企画をすることによって、直接売り上げに影響する訳ではないけど、自分の仕事を知ってもらうきっかけになる。それに、個々の材木屋や製材所でそれぞれ特徴や手法が異なるから、この勉強会を通じて、自分のやり方を参加者に知ってもらいたいと思っている。」

 

通常、決して明かすことのない製材や目利きの技術を惜しげもなく参加者に教える熱い情熱を持った福嶋さんに今後の目標を伺いました。

 

「世の中の急激なニーズの変化にどのように対応するか難しいところやね。価格競争に巻き込まれず、どのようにオンリーワンを見つけるか、木材コーディネート研究会で得られた知見を糧に地域でうちにしかできないことを探求するのが今後の目標かな。」

 

自分さえ、今さえ、良ければ良いんじゃない。

次の世代のことも考えながら業界全体で潤うことが大切。

そのためには、山に適切に利益を還元しないといけない。

 

福嶋さんが普段からおっしゃっている言葉を改めて考えさせられました。

「来年はどんな現地勉強会にしようかな?」

福嶋さんの声は弾む。来年度の勉強会も楽しみです。

 


 

インタビュー・文/撮影 桜木摩耶(NPO法人サウンドウッズ)