10/01/2019

第2日木材コーディネート基礎講座(令和元年度)

昨日より始まった木材コーディネート基礎講座。

緊張もほぐれて第2日です。

 

これまで開催してきた講座を東京開催では新編成しています。

木材コーディネーターとしての仕事について解説する講座をこのタイミングで実施します。

 

今回は、インターンシップ生の輪竹、伊能の順でレポートを掲載します。

第2日の講座は以下の通りです。

 

【講座概要】

 

日時 :令和元年9月22日(日)10:00~16:30

講師 :安田哲也(一級建築士)

井上淳治(准木材コーディネーター)

事務局:安田哲也

インターンシップ生:輪竹剛、伊能健悟

場所 :木材・合板博物館

 

内容 : 座学I・J 木材コーディネート事例 (10:00~12:00)
座学C 森林の計量・木材の計量 (13:00~14:20)
座学D 木材のグレーディング (14:30~15:45)
考査CD (16:00~16:30)

 

 

【講座内容】

 

 

<講座レポート1  作成者:輪竹剛>

 

 

座学I・J 木材コーディネート事例

 

木材流通の川下となる建築分野での木材コーディネート事例を、民間事業(住宅)、公共事業(非住宅)に分けて、一級建築士の安田氏が説明します。

 

「木材コーディネーターは何をする人か?」という根源的な問いに対し、実際のコーディネート事例を交えて答えていきます。

どのような仕事においても大切なことですが、安田氏は、過去のご自身の経験から「誰のためにその仕事をするのか?」という視点を大事にして仕事をすすめられていたのが印象的でした。

 

また、建築設計の仕事とは、あるフィールドの中で適切な空間をデザインして形にしていくことであり、その中では素材や資材の制約への考慮は二の次三の次になるとイメージされがちなのですが、「いまそこにあるもの(木材)を、どう活かすか考える」ということも重要なデザイン要素であると気付かされました。

 

 

地域の公共建築を地域材でつくるための一方策として、「材工分離発注」という考え方を事例を交えて説明がありました。

地域材活用やトレーサビリティーの担保という点において有用であると感じる一方、現時点では課題や注意点もありその点を意識しながら活用していきたいものです。

 

 

座学C 森林の計量・木材の計量

 

木材流通の川上にあたる林業を営んでいる井上氏から、森林の全体像をどうやって把握することや、木材の計量について説明がありました。

 

 

森全体を見るマクロの視点と、木一本いっぽんがどれくらいのサイズと品質の材木になっていくのかというミクロの視点を一気に説明することは、林業施業の現場を長年歩き、見ていないとできないものです。

 

 

今も現役バリバリの林業家である井上氏ですが、オリジナルのユニークな指し棒を用いながら、時折柔らかいエピソードも交えて受講者を和ませつつ、午後の講座がすすめられました。

 

 

座学D 木材のグレーディング

 

森の一本いっぽんの木が製材されて建築材料など私たちの生活の中で必要な材料として利活用されるために必要な品質(乾燥や曲げなどの力に対する強さ)が、どのように指標化される(グレーディング)のか、引き続き井上氏から説明がありました。

 

 

「木材のグレーディング」は、JAS規格などで定められた数値の持つ意味や算出方法の解説が主となります。

しかし井上氏からは、そうした数値の説明だけでなく、生活空間の中で木を活用することで、快適な触感温度とか、内装木質化による免疫力向上とか、木目を見ることによって感じる安らぎ感などといった定性的なメリットについても熱く語られて、「木づかい」を広めるためには多様な視点が必要であると感じたところです。

 

最後に、JAS規格材を建築用材として使用する場合は、どうやって、どこまですすめていくべきなのかといった議論などがあり、受講生の方々も相互に質問、意見、説明があり、熱い時間となりました。

 

 

 

<講座レポート2  作成者:伊能健悟>

 

 

座学I・J 木材コーディネート事例

 

 

事務局代表の安田氏の講座からスタートしました。

 

 

講座ではまず、安田氏が木材コーディネートに携わることになったきっかけについて、会場の笑いを誘いながら説明がありました。

しかし、笑いの中にも安田氏が日本・世界で得た経験に基づく問題意識・解決のための糸口に関する熱い想いがあり、受講者の方も真剣に耳を傾けていました。

 

木材コーディネーターの使命として特に強調していたのが、誰のための木材コーディネートなのか、ユーザーは満足するか、といった木材を使うこと以外への側面についてです。

ただ木材を使うのでは意味がないという安田氏の信条をうかがい知ることができたと思います。

 

 

続く事例紹介では、以上のような使命・役割を具体的にどのように実現するかを学びました。

一つ一つの事例に多くの関係者が存在し、また、それぞれが必ずしも同じ方向を向いているのではないという難しさについて、実際に事業を主導してきた経験を踏まえた解説がありました。

木材コーディネーターとして強く求められるスキルとして1日目のオリエンテーションで挙げられていた「伝える力」が重要なのだと、改めて感じました。

 

 

座学C 森林の計量・木材の計量

 

林業家の井上氏の事務所の看板息子(?)の話題から始まり、昼食後の眠い時間帯を最初から最後まで集中して楽しく受講することができました。

 

 

まずは森林に関する情報として、森林・林業基本法、森林法についての最近の動向についての説明があり、またその中で森林簿や伐採届けといった、実際に林業を行う上で必須となる情報の扱いについて解説がありました。

 

よく利用する情報制度や、それぞれの問題点について井上氏の実際の経験と絡めて話されており、実感を伴いながら理解することができました。

 

これらの森林の情報に関して概要したのち、森林・立木・原木・製材品とそれぞれの具体的な計量方法について説明がありました。

末口二乗法や日本の農林規格といった現場でよく使われる概念・制度から、ドローンセンシング、レーザースキャナ、GPSといった先端技術を応用した計量手法、更にそれらの情報を活用した森林情報システムの紹介もありました。

 

 

座学D 木材のグレーディング

 

まず講座の初めでは日本に存在する木材の品質証明制度について紹介があり、続く講義ではそれらの中で現在最も標準的なJAS制度について詳しく見ていきました。

 

 

目視等級区分や許容応力度、ヤング係数、含水率といった木材について知るには必須の専門用語について、一つ一つ井上氏から丁寧な説明があり、また、実際に会場で木材の含水率測定を行うなど、具体的にイメージしやすく理解が深まりました。

 

そしてこれらの用語について理解した上で、JAS規格がなぜ必要なのか、この制度をどのようにして利用していけば良いかといった点で更に詳しい解説がありました。

講座の最後では大規模工場と中小規模の工場について比較しながら、今後の木材業界のあり方についてご自身の見解を述べられており、私たちも木材業界の今後を考える良いきっかけとなりました。