2021/10/1
【レポート】令和3年度木材コーディネート基礎講座第1回
令和3年度木材コーディネート基礎講座第1回
いよいよ今年より木材コーディネート基礎講座が再開します。
今年度より、座学はオンラインで行うことになりました。
事務局もこころ新たに取り組みます。どうぞよろしくお願いいたします。
【講座概要】
日時: | 令和3年9月18日(土)15:00~18:00 |
講師: | 安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表理事) |
事務局: | 藤田良子 |
インターンシップ生: | 齋藤智比呂 |
開催方法: | オンライン |
【内容】
オリエンテーション | (15:00~15:45) |
オンライン座学1-1木材コーディネート概論 | (15:50~16:05) |
オンライン座学1-2木材コーディネート事例紹介 | (16:15~18:00) |
質疑応答(延長) | (18:00~18:30) |
<講座レポート 作成者:齋藤智比呂>
■オリエンテーション
オリエンテーションでは、受講の注意事項の読み合わせを行い、
受講生の自己紹介を行いました。
自己紹介に受講動機も含めていただきました。
いろんな方が今年も集まっていてとても楽しみです。
■木材コーディネート概論
木材コーディネーターとは何か、なぜ今、木材コーディネーターが必要とされているのか、
人工林の現状とそこにある課題について考えながら学びました。
人工林の現状と、これから先どのようになると予測されるか、
グラフなどの数値データを読み解くと同時に、
「森林環境税」など最新の話題に触れながら、人工林のこれからについて学びました。
特に深い気づきとなり、考えさせられたのは次の内容です。
「木材コーディネーターは、木材流通を統括し、流通全体の利益を適切に分配することにより、
山元へ利益を還元する役割を担う。」
「デザインすべきは木材コーディネートによって、誰に、どんな利益を生み出すか」
「木材の自給率は改善するも、森林所有者の収益還元に課題」
■木材コーディネート事例の紹介
地域産木材の流通を考える上で、木材コーディネーターが担う役割や、
関わることで何ができるのか、
住宅分野、非住宅分野のそれぞれの木材コーディネート事例をもとに学びました。
「立木定価販売価格の設定」や「大径原木の製材活用」、「木材先行発注方式」など、
どのようにして、森林所有者へ収益を還元するか、事例をもとに学びました。
概論に続いて具体的な事例を学んだことで、印象に残っているのは次の内容です。
「この森林を活かすには、どのような木材利用が最適なのか」
「森林所有者の収益拡大に寄与する木材利用」
「木材コーディネーターは「森」と「まち」の間の翻訳家」
■受講した感想
「木材コーディネーター」がなぜ必要なのか、それは、
「現状のままでは、森の価値をしっかり伝えられないまま資源が目減りしてしまうからだ」と
解説がありました。
現在の日本の林業をめぐる問題は多くありますが、
その中のひとつに、国産材の価値がとても低いということがあげられます。
それは決して川下の利用する側の問題だけではなく、
一定の品質のものを安定して供給できないなど、
川上の林業サイドにも問題があることは確かです。
しかし、一方では、木の価格が安く次の世代の森づくりができない、
一方では、安定した供給を望めないから利用したくない、
と一方通行の主張ばかりで、これでは一向に解決へとつながりません。
森林所有者の山にはどのような木があるのか、
どのエリアの山であれば今回の建築の部材として適しているか、
この山の木はどのように使うのが最も原木の価値を向上させるのか、
山元に利益を戻すことのできる建築とはどのようなものだろうか、と、
「森」と「まち」両者を理解しお互いの利益を両立させ、両者を結び、
解決へと導くのが木材コーディネーターの役割なのだと、
今回の講義を聞き、改めて再確認致しました。
事例紹介では、森林所有者の山にはどのような木があるのか、
立木の在庫管理をしたうえで、立木定価販売価格を設定し、山元へ収益を還元した取り組みや、
上物の発注前に木材を先行して発注、そして大径原木を活用することにより、
林業の収益を確保した取り組みをご紹介いただきました。
どちらも、川下側へは安定した材の供給を、川上側へは利益の還元を両立させた事例で、
これが町と森をつなぐコーディネートなのだと大変勉強になりました。
これから半年間、「森」と「まち」の間の翻訳家としてどのようなことができるのか、
本講座の受講を通して考えていきたいと思います。
【次回について】
日時: | 令和3年10月6日(水)18:30~20:30 |
内容: | オンライン座学2森林・林業と原木の品質(1) |
講師: | 井上淳治(林業家・認定木材コーディネーター) |
開催方法: | オンライン |