2021/11/1

【レポート】令和3年度木材コーディネート基礎講座第5回

第5回は現地演習で、埼玉県飯能市に朝から集合です。

オンラインでお会いしていた方に初めてお会いすることになり、

みなさん最初は少し緊張気味でしたが、徐々に打ち解けてきました。

 

【講座概要】

日時: 令和3年10月23日(土)10:00~17:00
講師: 井上淳治(林業家・認定木材コーディネーター)
事務局: 安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表理事)
藤田良子
インターンシップ生: 齋藤智比呂
開催方法: 現地演習

 

【内容】演習1森林施業と原木の品質

演習1-1森林散策 (10:30~12:15)
演習1-2森林測定 (13:30~14:15)
演習1-3プロット調査 (14:15~16:00)
演習1-4プロット調査まとめ (16:00~16:40)

 

<講座レポート 作成者:齋藤智比呂>

■森林施業と原木の品質

 

いよいよ、今回から現場での演習が始まりました。
オンライン座学で学んだことを実際に現場で見て確認し、
そして調査などの実体験を通してこれまでの学びを深めます。

 

 

午前の演習では森林内を散策しながらスギ・ヒノキ・サワラをどのように見分けるのか、
葉の違いだけでなく、樹皮や林冠を見て見分けることができるように
それぞれの樹種の特徴を教えていただきました。

また、それぞれの樹種に応じた適地適木、そして、
それを見分けるための指標となる植物も教えていただきました。

その後、立木を見て中身が想像できるように、
樹形やキズの有無などの立木を見る際のポイントを実例を示しながら説明がありました。
樹皮にはその木がどのような特徴を持っているか、中身がどのようになっているか、
様々なヒントが隠されています。

 

 

お昼休憩をはさみ、午後からの演習では、森林の測定方法を学びました。
その後、班ごとに分かれて森林の測定と100㎡プロット内の毎木調査を行い、
毎木調査の結果を基に、どの木を間伐するのが良いか1本1本見ながら考えました。

 

 

最後に、調査の結果を基にプロット内の材積と間伐材の材積を計算し、間伐率を算出しました。

 

 

本講義の受講生には様々な人がいるため選木の考え方も様々でした。
私たちの班では、柱材適寸の立木について、
今伐ってお金に変えた方が良いという意見もあれば、
細いけれども他の木と比べてまっすぐなため、周りの木を間伐で抜き、
この木をもう少し太るまで育てた方が良いという意見もありました。
立場が違えば考え方も様々で、いろいろなバックグラウンドを持った方と
同じ森を見て考える楽しさがあるなと思いました。

特に印象に残ったのは、次の言葉です。
「スラーッと伸びている木は素性が良い。」
「どのような山にしたいかによって選木の考え方は変わる。
育てたい木があるのであればその木の成長を邪魔するものを伐る。」
どのような森をするかビジョンが描かれているからこそ、
紡ぎだされる言葉だと思いました。

 

■感想
今回の演習地である西川林業地は江戸時代には既に「西川材」という名で
江戸の人たちに呼ばれており、色艶の良い良質材として利用されてきた歴史があります。
また、「立て木」という優良材を後世のために残す風習があり、
井上講師の山にも、とても大きく立派な立て木が山の中にポツポツとありました。

このような木を育てることは林業を行う上でモチベーションにつながると同時に、
良質材を見極める目やそれを育てる技術も養うことができると思いました。
良い木は良いものとして利用する側に届けることで
このような山を作っていく人材や技術が残ったら良いなと思いました。

 

 

【次回について】

日時: 令和3年10月24日(日) 9:00~16:00
内容: 演習2木材の計量・木材のグレーディング手法
講師: 井上淳治(林業家・認定木材コーディネーター)
開催方法: 現地演習(埼玉)