【レポート】令和6年度木材コーディネート基礎講座第1回
今年も始まりました第14期木材コーディネート基礎講座。
今年はインターン生お二人にお手伝いいただき運営を進めていきます。
第1回は、顔合わせもあって対面講座を東京で開催しました。
今年はオリエンテーションを第0回としてオンラインで実施したこともあり、
緊張感も少し解けてスタートしたようです。
【講座概要】
日時: | 令和6年9月21日(土)13:00~16:40 |
講師: | 井上淳治(認定木材コーディネーター) |
安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表理事) | |
進行 : | 安田哲也 |
事務局: | 若林知伸 |
インターン: | 本田久瑠美、藤田広大 |
開催地: | 機械振興会館(東京都港区) |
【内容】
はじめに | (13:00-13:05) |
第1部 開講式 | (13:05-13:55) |
第2部 森林・林業と原木の品質(1) | (14:00-15:25) |
第3部 木材コーディネート事例紹介 | (15:30-16:35) |
【講座詳細】
本日の講座のレポートは、インターン生の本田さん、藤田さんの順番に
掲載いたします。
■ 受講レポート (本田久瑠美)
第1部 開講式
木材コーディネート基礎講座の第1回が始まりました。
東京会場に集まった受講生は、川上から川下まで様々な業界に所属していて、
自己紹介の時間が終わって休憩になると、早速、名刺交換しつつ談笑が起こっていました。
第2部 森林・林業と原木の品質(1)
専門用語・法律・制度など、基本的な知識について説明がありました。
次に、木材の品質を見るポイントや品質に影響する事柄など、
木材の品質に関することを包括的に学びました。
森林・林業界の専門用語は、地域によって呼び方が異なることもあります。
例えば私の地域では、“細り”が大きい木のことを「梢殺(うらごけ)」と呼びますが、
井上氏の地域では「にんじん木」と表現することがあるそうです。
はじめに丁寧な用語説明があったおかげで、
参加者全員がその後の専門的な話について理解を深めることができました。
木材コーディネーターには、
どの立場の人にも分かるような翻訳力が必要だと実感しました。
「“高品質材”の山が“低品質材”の山にシフトすることはできるが、その逆はできない。」
という講師の言葉が印象に残りました。
第3部 木材コーディネート事例紹介
地域産材でできた校舎に子供たちが通うようになったものもあり、
木造建築で、人々と森林がつながりを持つきっかけになったそうです。
当初、「建築に木材を使うこと」ばかりが注目され、
それ自体が目的化しているような事例が見受けられましたが、
「他の素材と合わせて、木材の効用が高く発揮できるところに木材を使う」ように
変化してきたそうです。
木材利用の機運が高まってきている一方で、
原木の販売価格は低く、木を伐っても山主の手元に返ってくるお金は少なく、
山主の林業経営や山への関心が少なくなってきているのが実情です。
「建築の“目的”は『町をつくること』と同時に『森をつくること』であるべき」とのこと。
「木材を利用した仕事の成果が、山に還るようでなければいけない。」という言葉は、
今後、木材コーディネーターとして忘れてはならないことだと強く思いました。
■ 受講レポート (藤田広大)
第1部 開講式
初回の対面講義ということもあり、講師陣の自己紹介に続いて
参加者の自己紹介が和やかな雰囲気で行われました。
休憩時間には、早速名刺交換を行いました。
第2部 森林・林業と原木の品質(1)
林業基礎用語から林業に関わる法律の変遷や、
原木品質管理の基本や欠点の見分け方など説明がありました。
計画的に立木の品質をコントロールしていくために、
その場所にあった山づくりの重要性を教えて頂きました。
「山にお金が戻らない」という問題に対し、山の活用方法を模索しがちですが、
木材という資源をどう育てるかという根本を考えることがまず必要だと
説明がありました。
そのために、品質を読むため立木・原木・製材の各段階での調査、
製材をイメージしたロスの少ない歩留まり管理が必要であるとのこと。
そして、原木にみられる欠点など解説がありました。
埼玉演習では、育林が進んだ森を歩くことになっています。
とても楽しみです。
「林班と持主が同じではないなど、森林管理情報把握が難しい」
「流行にのるな、自然にのれ」という講師の言葉が心に残りました。
第3部 木材コーディネート事例紹介
木のあるくらしづくりのために立木直接販売システムの建築づくりや、
木のまちづくりのための自治体や団体支援の木材コーディネート事例の
紹介がありました。
立木直接販売システムによって、立木価格を固定し、
山の資産価値を見える化することができ、
建主が山に来て直接買付けできるようになったとそうです。
山主と建主が直接繋がる仕組みづくりの説明がありました。
自治体等の木材コーディネート支援では、
自治体の「前例が無い・経験がない」といった前例主義の殻を破るための
支援組織づくり、そして設計前の体制づくりの事例を紹介していただきました。
「なんでも木でつくれば良いというチグハグなリクエストをコントロールする必要がある」
「ふるさと教育としての木造校舎。
地域の裏山を学ぶという狙いをどうやって建物に結びつけるか」
地元産の木で木造建築を作って終わりではないというのが、
木材コーディネーターに課せられていることを実感した講師の言葉でした。
【次回】
日時: | 令和6年10月5日(土) 13:30~17:30 |
講師: | 井上淳治(認定木材コーディネーター) |
事務局: | 安田哲也 |
インターン: | 本田久瑠美、藤田広大 |
開催: | オンライン |
内容: | 第1部 森林・林業と原木の品質(2) |