【レポート】令和6年度木材コーディネート基礎講座第3回

第3回は現地演習で、埼玉県飯能市での開催です。
本日もインターン生お二人にお手伝いいただき運営を進めていきます。
 

【講座概要】

日時: 令和6年10月19日(土)10:00~17:00
講師: 井上淳治(認定木材コーディネーター)
事務局: 安田哲也、若林知伸
インターン: 本田久瑠美、藤田広大
実施会場: 木工房「木楽里」、井上氏所有林(埼玉県飯能市)

 

【内容】演習1 森林と施業と原木の品質

演習1ー1 森林散策
演習1-2 森林測定
演習1-3 プロット調査
演習1-4 プロット調査まとめ
演習2-4 製材品の見方

 

【講座詳細】

本日の講座のレポートは、インターン生の本田さん、藤田さんの順番に掲載いたします。
翌日第4回の予定だった「演習2-4製材品の見方」は時間の都合、本日に移動しています。
 

■ 受講レポート (本田久瑠美)

 

演習1-1 森林散策

 
午前中は井上氏の木工房「木楽里」でオリエンテーションをした後、
所有林で山や木の見方を教わりました。
 

 
10ha程の所有林の中には、主にスギ・ヒノキ、所々にサワラが植えられています。
昔、付近ではスギの赤枯れ病が流行り、その代替でサワラを所々植えていたそうです
 
サワラの葉はヒノキに似ているが、樹皮はどちらかというとスギに似ていて、
木目はヒノキに似ているとのこと。
サワラはスギやヒノキほど強度は高くないが、柔らかく加工性が高いため、
昔は桶づくりによく用いられていたそうです。
 

 
案内していただいた山は、
地形によるのか風通りによって毎年台風の被害を受ける場所がある一方、
きまって被害がない場所があり、また少しずつ植生が異なっているそうです。
山は一様に見えても、多様であることがわかります。
 

演習1-2 森林測定、1-3 プロット調査

 
午後は、午前とは別の所有林へプロット調査に入りました。
 
プロット調査とは、森林内の10m四方内にある立木の本数、胸高直径、樹高など
調査した結果を基に、全体の資源量を算出するという方法です。
 

 
参加者は4つの班に分かれ、計測機器の使い方を習って調査です。
現場には笹などの下草が茂る中歩き回って慣れない状況に苦戦しているようでした。
 

 

演習1-4 プロット調査まとめ

 
その後、「木楽里」に戻り、班ごとに資源量を計算しました。
その数字を見て初めて、調査した山が混みすぎていて間伐の必要があるということがわかりました。意外でした。
 

 
プロット調査により、森林全体の資源量を把握し搬出材積量の予測が可能になります。
経済的で計画的な森林施業には必要であることが分かります。
 
「やっぱりサワラとヒノキの見分けがつかん」と、受講生の間で盛り上がっていました。
これも、森林に入る回数を増やして目を慣らしていくことが肝要だと感じました。
 

演習2-4 製材品の見方

 
最後に、欠点を持つ原木を製材すると、どのように欠点が製材上見えるのか
製材品を使って説明がありました。
 

 

■ 受講レポート (藤田広大)

 

演習1-1 森林散策

 
本日は、井上講師が運営する木工房「木楽里(きらり)」に集合してスタートです。
山間のロードサイドにあり、ギネス記録にもなった木馬が迎えてくれる素敵な木育施設です。
 

 
井上講師が所有する森林を散策しながら森林の見方、立木の見方を解説して頂きました。
所有林は桧・杉が中心ですが、椹(サワラ)も植栽されており、見分け方を教わりました。
葉の表は桧と椹はよく似ていて区別がつきにくいのですが、
葉裏の模様がY字の場合は桧、X字の場合は椹だそうです。
 

 
いろんな解説も、森の中で実際の木を目の前にすると心によく残ります。
「椹(サワラ)は昭和のはじめに杉の赤枯れ病が流行した際に植えられた」
「玉紫陽花(タマアジサイ)の多い場所は杉の適地。
子紫陽花(コアジサイ)は良い香りがする。子紫陽花が多い場所は桧の適地。
そのような植物を指標植物という。」
 

演習1-2 森林測定、1-3 プロット調査

 
午後は、測定器械の使い方を説明して頂いたあと、木楽里から歩いて数分の森林にて実際に立木測定を行い、
班別で毎木調査、間伐向け選定を行いました。
 

 
プロット調査からの劣勢間伐想定では、
森の中でそれぞれが将来の姿を想像し意見を交わす姿が印象的でした。
 

演習1-4 プロット調査まとめ

 
「木楽里」へ戻り、調査結果をもとに資源量計算、間伐材積測定計算を行い、各班発表・比較を行いました。
 

 

演習2-4 製材品の見方

 
最後に、サンプルを見比べながら樹種による製材品の違いや
欠点が製材されたときにどのように表れるかをご講義いただきました。
 

 
最近では、欠点がある木を好んで購入する人が多いとのこと。
あえて欠点を面に出すことで個性的な商品づくりに繋げる発想を学びました。
大きなヒントを得た気がします。
 
「モメは風の揺れで圧縮受けた位置にできる。梁には使えない」
欠点が特徴といえど、用途の向き不向きがあることを把握して伝えるのは
木材コーディネーターの仕事だと感じました。
 

【次回】

日時: 令和6年10月20日(日)9:00~16:00
講師: 井上淳治(認定木材コーディネーター)
能口秀一(木材コーディネーター)
事務局: 井上峻太郎(有限会社創林)
安田哲也(NPO法人サウンドウッズ)
インターン: 本田久瑠美、藤田広大
開催地: 木工房「木楽里」(埼玉県飯能市)
井上氏所有林(埼玉県飯能市)
内容: 演習2 木材の計量・木材のグレーディング手法
演習2-1: 原木の見方と市場の役割
演習2-2: 立木の伐採と造材
演習2-3: 原木の材積と価格の検討