【レポート】令和6年度木材コーディネート基礎講座第6回

第6回は引き続きオンライン講座で、製材の役割の後編です。
本日もインターン生お二人にお手伝いいただき運営を進めていきます。
 
 

【講座概要】

日時: 令和6年11月13日(水)18:00~21:00
講師: 能口秀一(木材コーディネーター)
事務局: 藤田良子
インターン: 本田久瑠美、藤田広大
実施方法: オンライン

 

【内容】製材の役割(2)

前編 : 14 木材の価値と価格
後編 : 15 木取りと木材価値

 

【講座詳細】

本日の講座のレポートは、インターン生の藤田さん、本田さんの順番に掲載いたします。
 

■ 受講レポート (藤田広大)

 

前編 14 木材の価値と価格

 
前半は「木材の価格と価値に」ついて製材品等級種類のうち
製材JAS(日本農林規格)構造用製材と造作用製材の説明があり、
次に、JASとは異なる慣習的等級、JAS造作用製材の材面品質基準について説明がありました。
 

 
「JASとは異なる慣習的等級が使われているのは、JAS工場が普及していない背景がある」
だから講座では等級についてそれぞれの説明があるのだと納得しました。
 
続いて、流通の各段階にかかるコストについて解説がありました。
流通段階毎にかかるコストを試算することで、
山主とエンドユーザーのフェアトレードができる価格を明確にできます。
 
また、胸高直径等のデータ化により「山の棚卸」を行うなど、
講師の取り組みは製材所の領域を超え、山側と建築側を理想的に繋げていると思いました。
 

後編 15 木取りと木材価値

 
山主と最終消費者双方のために、木材コーディネーターとして、
原木の可能性を見極めて適材適所に活かすような製材をどう提案すれば良いか、説明がありました。
 
次に、木取りに適した原木選択を行うため、原木の外観から中身をいかに推測するか、
確認するポイントを説明いただきました。
 
最後に、ウッズの事例として立木在庫の見える化を行うことで
建築側との情報交換が可能になるとのことです。
また、小規模製材所の質へのこだわりと全体効率化についてご紹介頂きました。
 

 
全て異なる原木の潜在価値を見極め、適材適所に活かす製材は、
きめ細やかな配慮の積み重ねの上にのみできる仕事ではないでしょうか。
大規模製材所では真似ができません。
また、それを実行している社員の方々も志を一つにしていないとできないと思いました。
「原木ロスを減らすことが、山側の利益向上につながる」
 
建築の構造材要求に合わせた在庫管理や少品種量産対応は、
小規模製材所だからできることだと理解しました。
質へのこだわりによる高付加価値化を目指す一方で、
全体効率化を行うことで持続的な運営へつなげている点に感銘を受けました。
 

■ 受講レポート (本田久瑠美)

 

前編 14 木材の価値と価格

 
山の中の立木が製品になるまでに、造材・製材・輸送といった数々の工程があります。
当然、製品としての販売価格はそれぞれのコストが山元立木価格に加算されています。
そして各コストは、現場や地域、製材所の規模等の条件によって異なります。
 

 
どのような製材所や輸送を組み合わせるかで、製材という最終製品までの価格が異なってくることを
木材コーディネーターは把握する必要があります。
 

後編 15 木取りと木材価値

 
続いて、有限会社ウッズでの取り組みについて言及しながら、
原木の潜在価値に応じた製材が重要であるとの説明がありました。
 
量産型大型専門工場では、自動化を進め設備の稼働率を挙げることに注力する一方、
有限会社ウッズのような小規模製材工場では、
長尺・体径・曲がり等、多様な原木と多様な木取りの組み合わせに対応しています。
 

 
「一般の市場をみていると、よい原木が高く買われていないように見える」と講師がため息をついていましたが、
近年、高品質な建築用材の需要が低下していることは、様々なデータにより明らかです。
 
「現状の原木流通は、並材中心で取り引きされている」とのことですが、
これからは量産型大規模大型工場も、大径材が挽けるようになることも予想されます。
そして、並材や燃料材などの低品質材の需要は上昇し続けています。
 
こうした木材流通の動向を読み、市場に出回る原木や価格を予測して対応することの重要さと、
やはり「高品質材の需要を増やすこと」や「高付加価値化」を諦めない姿勢が
木材コーディネーターに必要だと感じました。
 

【次回】

日時: 令和6年11月23日(土) 15:30~17:30
講師: 安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表)
事務局: 藤田良子
インターン: 本田久瑠美、藤田広大
開催方法: オンライン
内容: 関係者ネットワーク構築と配慮すべき事項