2021/11/1

【レポート】令和3年度木材コーディネート基礎講座第6回

本日は、演習2日目。再び埼玉県飯能市で行いました。

快晴のすがすがしい朝になりました。ひんやりとした空気に秋を感じながら、山に入りました。

昨日の班のメンバーはシャッフルして、新しい顔ぶれでグループワークを始めました。

 

 

【講座概要】

日時: 令和3年10月24日(日) 9:00~16:00
講師: 井上淳治(林業家・認定木材コーディネーター)
井上峻太郎(林業家・H30年度インターン生)
若林知伸(R01年度修了生)
事務局: 安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表理事)
藤田良子
インターンシップ生: 齋藤智比呂
開催方法: 現地演習

【内容】演習2木材の計量・木材のグレーディング手法

演習2-1立木の伐採と造材 (9:30~11:15)
演習2-2原木の見方 (11:30~12:15)
演習2-3原木の材積と価格の検討 (13:30~14:30)
演習2-4スマート林業の紹介 (14:30~15:20)
演習2-5製材品の見方 (15:20~15:40)

 

<講座レポート 作成者:齋藤智比呂>

 

■木材の計量・木材のグレーディング手法

 

日は、伐採する木の測定価値の上がる造材について、現物をお目の前にして検討していきます。

オンライン座学で学んだことをフル活用することになり、背筋を正して取り組みました。

 

2日目は、井上講師によるヒノキの伐倒からのスタートです。

まず、1日目の復習も兼ねて、伐倒する木の胸高直径や樹高の測定、

その木がどのような特徴をもっているか確認をしました。

 

 

伐倒したヒノキは胸高直径40㎝もある大きな木で、

人の手により倒されていく様子を受講生一同注視をしながら見守っていました。

伐倒後は、どのように造材をすれば原木の価値を最も高くすることができるのか、

曲がりの位置を確認しながらデータを取っていきました。

 

 

 

続いて、場所を吾野原木センターへと移し、価値のある原木の見極め方を教わりました。

1日目に教わった立木の欠点が原木ではどのように表れるのか、

また、径級を含めた材の特徴からどのように造材するとより価値が付くか、説明がありました。

 

立木では樹皮に木の特徴のヒントがあることを教わりましたが、

今回は、丸太の木口(断面)からどのような特徴を持っているか考えました。

アテ材については立木の時に力がかかっていた様子を木口からも確認することができ、

山に立っている木から、だんだんと製品としての木へと近づいていることを感じることができました。

 

 

午後の演習は、午前中に行った造材の検討を基に原木の材積と価格を計算しました。

造材の仕方によって、最大で23,000円の価格差があり、造材の大切さを実感しました。

 

 

計算が終わったところで少し話題を変え、「3D Walker」や「RTK測位」、「QGIS」など、

林業の現場で起こっているスマート林業について、

飯能で林業に従事する基礎講座修了生の若林氏と井上講師のご子息・俊太郎氏に紹介していただきました。

林業の現場ではまだまだアナログなところが多く、手間がかかったり、管理が俗人的なところも多くあります。

それぞれの現場や林業のスタイルに合わせて最新の技術をうまく取り入れ、

より効率的に管理をできるようになると良いなと思いました。

 

 

最後の演習は製材品の見方です。

立木や原木で確認した欠点が、製材したときにどのように表れるか学びました。

立木の状態ではその中身まで想像することは難しかったですが、

立木から原木、原木から製材品と順を追って観察することで、

立木からその中身を想像することができる、その基本を学びました。

 

林業に従事し森林に寄せる熱い思いも、採算性が課題になることが次の言葉でわかります。

「飯能地域周辺でも皆伐をした方が良い場所があるが、

伐採や再造林にかかる費用、木材の価格を考えると、皆伐が進められない」

「木材をしっかりと育てることは大切な産業。日本の森林を守る、そのような木の使い方を皆さんと考え、実践していきたい。」

 

 

■感想

 

山から製品へと近づく学びを得ることができました。

立木から原木、原木から製品と順番に見ていくことによって、

立木の状態で見られた欠点が製品になった時、どのように表れるか

実体験を通して学ぶことができました。

立木のときには見つけることの難しかった欠点も、製品になるとはっきりと表れ、

立木の状態でそのサインに気付くことがとても大切なのだと実感しました。

 

造材について、造材の方法によって最大で23,000円もの価格の差が出てしまったことにとても驚きました。

効率を重視するところでは木1本1本に合わせた細やかな造材を行っていないところもあります。

しかし、立米当たりに換算すると15,540円もの差が出ることを考えると、

積み重なると収益に大きく影響します。

可能な限り木1本1本、それぞれに応じた最も価値の高くなる造材をすることは、

大切なのだということを学びました。

 

 

【次回について】

日時: 令和3年11月4日(木)18:30~20:30
内容: オンライン座学5製材の役割(1)
講師: 能口秀一(木材コーディネーター)
開催方法: オンライン