2022/3/31

【レポート】令和3年度木材コーディネート基礎講座第14回

半年にわたって開催してきた講座もいよいよ最終回です。
あれ?これはオンライン画面と思った方、次回予告では現地演習となっていたのに?
と気が付いた方、鋭いですね!
最終回は、新型コロナに配慮して、現地演習+オンラインのハイブリッド開催になりました。
会場と遠隔地を結びながらの講座。レポートは、インターン生の齋藤さんからです。

【講座概要】

日時: 令和4年2月26日(土)13:00~17:00
ゲスト講師: 赤堀楠雄(林材ライター)
講師: 能口秀一(木材コーディネーター)
井上淳治(認定木材コーディネーター)
進行: 安田哲也(NPO法人サウンドウッズ代表理事)
事務局: 藤田良子
インターンシップ生: 齋藤智比呂
開催方法: 現地開催(大阪市)・オンライン(同時)

【内容】 ワークショップ / 令和3年度木材コーディネート基礎講座修了式

ワークショップ (13:15-16:00)
講評・講師賞の発表 (16:00-16:30)
木材コーディネート基礎講座修了式 (16:30-16:50)

<講座レポート 作成者:齋藤智比呂>

■ ワークショップ

まず初めに講師から挨拶をいただいてから、前回発表した19本のビジネスプランの中から、
議論を深めていけるもの、さらなる展開の可能性のある2本のビジネスプランについて
グループワークで深堀りディスカッションを行いました。

1人目のビジネスプランは、
地域材を活用した自治体連携の仕組みづくりでした。
そのための人材育成、普及啓発活動をどのように行っていくか、
そしてそれらを実現するために乗り越えないといけない課題について
もう一度プレゼンしていただきました。

その後、発表者にして直接質問を得た情報を元に、
講師も入ってグループディスカッションを行いました。
「自治体職員との連携はどのように行っているのか?」、
「地域材の活用について現段階でどのようなものを考えているのか?」
といった質問や、
「地域材でふるさと納税の返礼品を制作するのはどうか。」
「大学などの先生と連携を図り、知恵をかりるのはどうか」など
様々な意見がでました。

これらの質問や提案を受け
「自治体職員は人事異動があり、担当が変わるので長期プロジェクトが難しい」
「木材を使うなら近くの山から出た木材を使う、
それが当たり前になるような仕組みを作れたら嬉しい。」と感想がありました。

講師からは「ビジネスプランが成功例となるよう、期待しています。」と応援がありました。

2人目のビジネスプランは、
実際に触れることで木の温もりや柔らかさを感じることができる、
地域材を活用した古民家の改装です。
無駄のない木の使い方を説明することで理解を深め、
地域材普及のための広報活動により将来の施主へ繋げていきたいといった思いを
もう一度プレゼンしていただきました。

みなさん、気になる点をしっかりメモ取りされています。
それでも不足する情報は発表者に質問して判断基準とする情報を集めました。

引き続き講師が入ってグループディスカッションを行いました。
「このビジネスプランにおいて、本人はどのような立場で関わり、
関係者はどのような人たちがいるのか?」
「改装後はどのように活用していくのか?」
「このビジネスプランのゴールは何か?」といった質問や、
「改装作業そのものを利用し、木材への知識を深める活動にするのはどうか。」など
様々な意見が出ました。

これらの質問や提案を受け、
「いただいた多くの提案を一度整理し、もっと良いものにしていきたい。」と
ブラッシュアップの種を受け止めていました。

講師からは、「いろいろな提案が出てさらに迷うところがあるかもしれないが、
楽しみにしています。」と期待の声がかかりました。

■ 講師の講評と講師賞

講師が関心の高いビジネスプランには、講師賞が贈られます。
副賞で講師が選んだ図書が贈られます。どんな図書なのか気になります。

井上講師は、「現在の林業に関わる業界は人材が不足している。
人材育成はこれから増々重要になり、その際、木育はとてもよいツールである」
として、ビジネスプランに盛り込んだ岡崎氏に。

能口講師は、「一般の人に森や木のことをどのように伝えていくことができるか、
それを大切にしてほしい」として、
海外ユーザーに良質な吉野材を販売することで
その価値を高める取り組みを描いた山中氏に。

赤堀講師は、「日頃、自分たちが木材のユーザーであるという認識はあまりない。
木材に関心を持ち使用していく人たちを増やすことが大切である」とし、
製材所からでる端材を活用する取り組むプランをまとめた佐藤氏に。
佐藤氏はオンライン参加だったので、副賞は郵送することになりました。

■ 令和3年度木材コーディネート基礎講座修了式

続いて、修了式が執り行われました。
会場の方にはそれぞれ修了証を授与されました。
オンラインの方へは拍手が贈られました。修了証は後ほど郵送です。

■ 感想

今回の修了式で、半年近くかけて行われた「木材コーディネート基礎講座」全14回が終了しました。
代表者2名のビジネスプランを掘り下げ、さらなる展開を考えることで、
自身のビジネスプランにも応用できる考えがみつかるなど、良い学びになりました。
バックグラウンドの異なる人たちとディスカッションをすることで、
自分だけでは至らなかった考え方や、疑問に対する解決案、
すでに取り組まれている事例など新しい知識を得ることができ、
とても充実した1日でした。

この半年間、山のことから、製材のことまで様々なことを学びました。
そこで得られた知識も大きいですが、何より、
川上から川下まで様々な仕事をされている方と一緒に学ぶことで、
その人たちがどのようなことに関心があるか、自分には当たり前に思えることでも、
他の人にとっては当たり前ではないことに改めて気付くことができました。

第1回のオンライン講座で、
木材コーディネーターは「森」と「まち」の翻訳家であるとありましたが、
山で生きている木を見るか、まちで木材としての木を見るかで
見ている世界が異なり、お互いを知る機会というのは
案外少ないのだということを再認識しました。

今後はこれまでに学んだことを活かし、まずはお互いを知ることから始める、
そして、「山」から「まち」までいろんな人たちと一緒に山や木のことを考える、
そんな関係をつくれたら良いなと思います。