【レポート】令和5年度木材コーディネート基礎講座第4回

第4回は第3回に引き続き埼玉県飯能市で、現地演習です。
 

【講座概要】

日時: 令和5年10月29日(日)9:00~16:00
講師: 井上淳治(認定木材コーディネーター)
事務局: 安田哲也
能口秀一
若林知伸
井上峻太郎
インターン: 伊藤和樹
開催地: 埼玉県飯能市

 

【内容】木材の計量・木材のグレーディング手法

第1部 立木の伐採と造材 (9:35~11:00)
第2部 原木の見方 (11:15~11:45)
第3部 原木の材積と価格の検討 (13:00~14:25)
第4部 製材品の見方 (14:35~15:15)
第3回・第4回のまとめ (15:15~15:45)

 

【講座詳細】

 

第1部 立木の伐採と造材

 
立木の伐採方法やその際の安全管理、また伐倒後の造材について学びました。


 
昨日プロット調査に入った森に移動しました。
まず、伐採する立木の胸高直径や樹高、曲がりなどを計測しました。
その後、伐採に向けて行うロープ掛けなどの段取りを見学し、安全管理を学びました。

 
伐倒後は曲がりや欠点を確認し、樹皮の厚さや元から1mごとの最小直径を計測しました。
「伐採の時最初に作る受け口は、立木の倒す向きを決める」
伐倒時が最も危険と聞きますが、絶妙な受け口を作る技術力が必要とのこと。

 
「造材の判断が難しいときは、原木市場の方と話して決める」
効率よく木材利用を進めるためにも、造材の際に川下のニーズがわかることが大切だということがわかります。
 
 

第2部 原木の見方

 
原木の太さや欠点などから、原木の見方を学びました。
 


森林から飯能市内にある原木センターに移動しました。
原木センターの役割や業務など説明がありました。
原木市場では、競りだけではなく入札もあるそうですが、こちらでは競り売りだけだそうです。
 
次に、仕分けされて山積みにされた原木を見ながら、原木のキズなど確認する箇所や、出荷者に関する情報など説明がありました。
伐採前に観察した立木の特徴が原木市場ではどのように見えるのか、意識することが重要だとわかります。
 
 

第3部 原木の材積と価格の検討

 
原木の材積や価格の検討を通して、伐倒された立木の造材の仕方を学びました。
 


森林から公民館へ戻りました。
班に分かれて、伐倒前に見た曲がりやキズを元に伐採木の造材を検討します。
樹皮の厚さから末口径を算出し、原木の材積を計算しました。
価格表より原木の価格を計算し、造材検討結果を各班発表です。
立木のキズや曲がりの様子から、各班、それぞれ異なった造材の提案になりました。
 
「市場にはどのような需要があるのか、地域ごとの特徴を理解することが大切」
市場のニーズにも、地域ごとの特徴があるというのは意外でした。
売れる原木を生産する造材が大切です。
 
「ウッドショック後、山側の単価は低く戻ったが、流通の単価は高止まりしている」
なぜそのような事態になっているのか、演習以降の講座を通して学んでいきたいと思います。
 
 

第4部 製材品の見方

 
立木や原木の段階で確認した欠点が、製材された後でどのように影響しているかを学びました。
 


井上講師が製材した木材を机に並べ、立木に見られたモメ、アテ、気根、
そして、天シボなどがどのように表れているのか、学びました。
それぞれの欠点が生じた原因の説明もあり、受講生は熱心に話を聞いていました。
 
「気根は強度には関係がないため、構造材に使える」
このような知識を設計者が身に着けることで、消費者も安心して木材を受け入れられると思いました。
 
「広葉樹は引っ張りアテ、針葉樹は突っ張りアテが生じる」
樹種ごとに欠点の生じ方にも違いがあり、とても興味深かったです。
 

 
本日は立木の伐採、計測から造材、原木市場見学と、川上の一連の流れを学びました。
伐倒した立木の造材は、キズや曲がりなどの欠点、その時の需要など多くの変数をもとに行われるという難しさを学んだとともに、原木市場での情報共有や川下との連携も大切であると感じました。
今回の森林演習で学んだことを心に留めて、次回製材演習に取り組みたいと思います。
 
 

【次回】

日時: 令和5年11月1日(水)18:00~21:00
講師: 能口秀一(木材コーディネーター)
事務局: 安田哲也
インターン: 伊藤和樹
開催方法: オンライン
内容: 製材の役割(1)